【実施報告】みんなの経験共有会vol.13~「ボランティアやってみた・受け入れてみた!」を開催しました
7月3日(月)、みんなの経験共有会vol.13~「ボランティアやってみた・受け入れてみた!」をオンラインで開催し、16名の方にご参加いただきました。配信はクラフト工房LaManoから行いました。
今回は、伊藤幾夫氏(町田ボランティア連絡協議会 代表)、高野賢二氏(クラフト工房LaMano施設長)、小田眞理子氏(一般社団法人つるかわ子どもこもんずサポーター)の3名にお越しいただきました。進行はサポートオフィス喜田が行いました。
ボランティアやってみた・受け入れてみた!ポイントまとめ
1 ボランティアの方には感謝の言葉を伝えよう |
以下、トークセッションの様子をご紹介します。
<自己紹介>
伊藤さん:
町田ボランティア連絡協議会(通称:ボラ連協)の代表をしている伊藤です。ボラ連協は、町田市内でボランティア活動をされている団体さんの集合体です。現在、トータルで22の団体さんが加入されています。ボラ連協の役割として、月1回代表者会議を開いて、お互いの活動について情報交換したり、各団体の催しに必要な助っ人を要請したりする場を設けています。また、個人として関わっていらっしゃる方が5名います。私自身はかれこれ30年前から町田YMCAで活動をしていて、その中で「ボラ連協」というものがあるよということを聞いて、加入してみようと思ったのがきっかけで、20年ほど参加しています。
小田さん:
私は4団体に所属しボランティア活動をしていますので、それぞれご紹介します。2021年4月から一般社団法人つるかわ子どもこもんず(旧:つるかわ無料塾結い)で活動しております。当時結いに入ったきっかけは、まちカフェ!でした。若い頃から子ども支援の活動がしたいと思っていたため参加しました。2つ目の活動は、樹木・環境ネットワーク協会が行っている里山林塾です。里山保全の活動をする会です。3つ目は鶴川地区協議会の活動で、シニアの方のスマホ相談を受けています。4つ目は、今年の3月からNPO法人町田演劇鑑賞会のサークルの代表として活動を始めました。結いで活動を始めたことをきっかけに、スマホ相談、里山林塾…と活動が広がっていきました。これからも楽しい活動を行っていきたいと思っています。
高野さん:
LaManoは1992年、現在とは違う場所で、障害児の造形教室という形からスタートしました。そこに通っていた子たちをはじめ、支援学校を卒業して社会に出ていくときに、まだ障害福祉サービスが少ない時代だったので、先生と親御さんが中心になって設立されました。LaManoはスペイン語で「手」。作業の中心に<手仕事やものづくり>を置きたいという想いがあり、事業所を立ち上げました。
製品を作る過程で、最後に縫製やアイロンがけが必要なのですが、それらの作業が難しい利用者さんがいるので、当時は親御さんがお手伝いをしてくださっていたというのがボランティアの始まりでした。また、こちらの工房は1500~2000坪ほどの小さな里山のような場所にあるのですが、土地の環境保全や草刈りなどのボランティアさんにも来ていただいています。町田社会福祉協議会でボランティア募集をかけたところ、「町田シニアボランティア」という退職後の男性を中心としたボランティアさんがちょうど畑作業ができる場所を探していたということもあり、お互いのやってほしいこととやりたいことがうまくマッチして18年くらい続いています。コロナ前の1番多いときで、年間のべ1000名近くボランティアに来ていただいています。ボランティアさんはLaManoには欠かせない存在です。
<トークセッション>
Q1.ボランティアさんが活動しやすくなるようにどんなことを意識していますか?また、ボランティアをしていて活動しやすかったなと感じた仕組みや声掛けはありますか?
高野さん:
初めてボランティアに来てくださる方にはこの場所がどういう場所でどういう人たちが関わっているか、どんな内容のボランティアかということをしっかりお伝えし、見学に来ていただくようにしています。お互いに嫌な関係にはなりたくないので、ボランティアさんに何を求めているのかということやお客さんにお金を出して買ってもらう製品なので「ダメなときはダメと言わせてもらいます」など、言いづらいことも先に伝えるようにしています。
小田さん:
無料塾でのボランティアでは、子どもたちに勉強を教えるのがメインの活動ですが、数学や英語を教えるのは私には難しかったので、勉強はしたくないけど一緒にいてほしいという子どもの担当をするところから始まりました。勉強も教えられないのに、その場にいれてよかったと思っています。また、代表の福田さんが、「小田さんがいてよかった」といつも言ってくださるのでうれしいです。
伊藤さん:
小田さんのお話は、ボランティアができる関わりとして素晴らしい内容だと思いました。<そこにいてくれるだけでいい>というのはすごく感じますね。私は、金森にある「シャロームの家」という知的障害者の施設で歌声広場をやっています。そこに参加してくださる方は地域の方が多いのですが、設立するときには、知的障害の施設ができるということで、近隣住民の方々が猛反対だったのです。そんな中、施設に来てもらうのが一番いいだろうということで始めたのが歌声広場でした。知的障害の方を理解するきっかけになってよかったということと、参加者の中で私もボランティアしたいという人が多くなったことが嬉しいなと思っています。
ボランティアを受け入れる際に気を付けていることは、「私、手伝ってもいいわよ」という雰囲気を醸し出している人を見つけて声をかけること。そういう方はチラチラと、「できることはないかな」と探してくれている方が多いです。難しい知識やスキルは必要ないと思います。
Q2.ボランティアだからこそ生まれる価値について、皆さんが感じていることを教えてください。
高野さん:
ノルマがある仕事とは違うので、ここにボランティアに来ることが生活の喜びになっていたら嬉しいですし、皆さんそうおっしゃってくださるので嬉しいです。毎年制作販売しているこいのぼりはボランティアの方が一部縫製してくださるのですが、取材を受けたり雑誌で取り上げられると、ボランティアの方にもその喜びを共有させていただいています。少し難しい注文が入ったときには、どういうお店のどういう商品なのかということをきちんと共有して、単なるお手伝いではなくその先にある届けるもののイメージを共有できたらなと思っています。ボランティアの方が縫製や草刈りなどいろんなことを担っていただけるおかげで、スタッフは利用者さんの支援やものづくりに時間を使うことができていますので、とても助かっています。最後の仕上げ1つで製品の出来が変わるので、本当にありがたいです。
小田さん:
つるかわ子どもこもんずのサポーターの方が本当に良い方ばかりで、中学生や高校生に本当に優しく寄り添って教えられている姿を見て「いい団体だな~」と思います。また、中学生に提供するデザートやハーブティーは、すべてボランティアさんの協力の賜物です。「こんな贅沢している無料塾なんてないよね!」といつもメンバー同士で話しています。
伊藤さん:
こちらがボランティアすることによる楽しさ・充実感がなんとも言えません!また、受け入れ側の方が「ありがとう」などの言葉をかけてくれると、役に立っていると感じることができ、好循環ですよね。
Q3.ボランティアやっていて/受け入れていて困ったことがあれば教えてください。それをどうやって解決したのかについても教えてください。
伊藤さん:
困ったことは、ボランティアをしてくださる方の中でも意識のギャップがある場合があるということですね。歌声広場でも伴奏者が必要なのですが、自分は専門技術があるということである程度の報酬がほしいと期待されたことがありました。「主催者もすべてボランティアなんですよ」ということをお伝えするのですが、なかなか理解してもらえないこともあり難しいです。プロボノという自分の専門スキルを活かした社会貢献を指す言葉もありますが、そのスキルをボランティアとして活かしてほしいなと思う一方、切り替えがなかなか難しい方やできない方もいらっしゃいますね。
小田さん:
私は、鶴川に住んでいないので、交通費がかかるなというのは困ったことの1つです。それについては、定期券を買うことで解決しました(笑)。
私自身はそんなに感じていないのですが、ボランティアの大先輩がおっしゃっていた「ボランティアは使い捨てなのかな~、軽く扱われている気がする。捨てられたら忘れ去られていくだけなのかな…」という言葉が気になっています。長年ボランティアをやってらっしゃる方のお言葉なので、受け入れる側の意見も聞いてみたいです。
高野さん:
お二人にアンサーする形でお答えします。当法人では、理事もボランティアですが、中には「無報酬でやるの?」と言われることはあります。ここに想いをもって参加するボランティアという意味では、理事も、その他のボランティアも同じだと思っていますので、その都度そのことを話しています。
小田さんがおっしゃっていた「使い捨てなのかな」という言葉は私もグサッと来ますが、そういう想いをさせないように心掛けなきゃなと思います。長く関わっているボランティアさんがお辞めになる時にはLaManoの商品とお礼の言葉を書いて渡し、感謝を伝えるようにしています。ボランティアを辞めるタイミングで縁が切れてしまうのではなく、何か別の形でかかわってもらえるといいなと思っています。先日、LaManoが30周年を迎え記念イベントを実施した際、今まで関わってもらったボランティアさんが集えるような形で開催しました。連絡先が変わった方もできる限り調べて100名ほどにご案内して30~40名にご参加いただきました。
Q4.(参加者からの質問)ボランティア募集の告知はどのようにしていますか?
伊藤さん:
イベントなどの参加者の方にボランティアとして関わってもらうのが一番いいと思うので、イベントの際には「お手伝いしてもいいよ」という顔をされている方をいつも探しています。そうすることで輪が次々と広がっていくと思います。反対に、ボランティアしてみようかなという方はぜひその団体のイベントに参加して、暇そうな顔をして、主催者と目を合わせてみるといいと思います。
小田さん:
知っている人が誘ってくれたり、一緒に参加してくれたら安心して参加できるかなと思います。町田市内を見ても、鶴川地区の人の活動への意欲や熱意がすごいな~と感じているんです。その雰囲気を感じると、「鶴川で活動しよう!」と思います。
高野さん:
LaManoでは、展示会にお越しいただいたお客さんから「ボランティア募集していますか?」という声掛けをいただくことがあります。染色などを学ぶ学生さんがボランティアとして参加した後、スタッフになったというケースもあります。いろんな角度から興味を持ってボランティアに来ていただいています。ボランティアを募集するというよりは、どういう活動内容・目的があるのかということをお伝えして、「私にもできそう!」ということが伝わるといいと思っています。敷居を低くするというイメージですね。
Q5.(参加者からの質問)ボランティアは「やりがい搾取」になってしまう面もあると思うのですがどう考えていますか?
高野さん:
ボランティアに限らず福祉分野ってそういわれること・思われることもあるかなと思いますね。そうならないようにどうしたらいいのかというのは常々考える必要があると思います。自分は性格的にいろいろやりたくなっちゃうタイプなので、搾取されていると思わないのですが、人によっては同じことをやっていても喜びに感じる人・負担になる人がぞれぞれいらっしゃると思います。その人の負担にならない量を考えたり、やっていただいたことに関して共感する時間を作るなどは意識的にやっています。
Q6.(参加者からの質問)いろんな活動をしている中で、モチベーションの維持で何か工夫されていることはありますか?
伊藤さん:
こちらが楽しむということがすごく大切だと思います。とにかくお互いが楽しみ、やっている側と受け入れている側の壁がないということが最も大事だと実感しています。
小田さん:
私はもともとテンションが高いのですが(笑)やらされていると思ったことはないです。中学生はかわいいんですよ!「小田さん、小田さん」って話しかけて来てくれるので、力まなくても楽しめるんです。スマホ相談室のほうでも70~80代の人にも恐縮するほど感謝されます。感謝されなくなったらボランティアもつらいですよね。
<クロージング>
みんなの経験共有会では、最後にゲストの方からメッセージを掲げていただき、クロージングとしています。今回の一言は、「ボランティアとは?」です。
伊藤さん:成長とよろこび
ボランティア活動を通して自分が成長できるというのが実感としてあります。それが喜びにもつながっていきます。ボランティアは人のためでもあり、自分のためということを日々実感しています。
小田さん:「喜び!」
偶然ですが伊藤さんと同じ、喜びです。誰かに喜んでもらうことで自分に返ってくるし、自分の存在意義を確認できると思います。ボランティアは、人のためのようで、自分のための活動ですね。
高野さん:地域のつながりと縁の下の力持ち
福祉施設は外とのつながりが持ちづらい部分がありますが、ボランティアさんのおかげで施設の風通しがよくなっているということを感じています。また、縁の下の力持ちがいることで一緒に施設を支えてくださっていることを実感しています。
次回は9月に開催を予定しています。
開催情報については後日ホームページで公開させていただきます。
過去の開催記事はこちらからご覧ください。
▼4月:みんなの経験共有会vol.11~「福祉」の枠を超えた事業に挑戦中!
https://machida-support.or.jp/report/230427-2/
▼5月:みんなの経験共有会vol.12~仕事と地域活動のバランスについて考える!
https://machida-support.or.jp/report/230524-2/
2022年度の過去開催回の実施報告は、下記ページからご覧ください。
https://machida-support.or.jp/report/performance/salon03/
*記事の最下部に過去回のリンクを掲載しています*