【実施報告】みんなの経験共有会vol.23 「町田のたのしいごみ削減啓発活動 ~みんなから大人気!うまちゃん&ゆうちゃんのあゆみ~」
みんなの経験や挑戦を市民の知にしていく場「みんなの経験共有会」。2025年度も引き続き<温故知新シリーズ>としてこの先も町田で語り継いでいきたい活動をしている地域活動の先輩をゲストにお招きし、じっくりとお話を伺っていきます。
6月6日にみんなの経験共有会vol.23「町田のたのしいごみ削減啓発活動 ~みんなから大人気!うまちゃん&ゆうちゃんのあゆみ~」を開催しました。当日はオンライン配信、対面参加、アーカイブ視聴を含め17名の方にご参加いただきました。
ゲスト うまちゃん&ゆうちゃん(馬川賢一さん、橋本祐子さん)
町田市内で、Reduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)の頭文字を取った「3R」を元にしたごみの削減について、子どもにもわかりやすく啓発活動をしています。 ごみ削減の啓発のため、市内のイベントでのステージ、町内会・自治会、高校、中学校、小学校、幼稚園・保育園などを回る出前講座に携わってこられました。馬川さんは14年間、その内7年間は橋本さんもジョインし、ともに活動を続けてきました。現在は個々での啓発活動も行っています。 ギターのメロディーにのせた覚えやすい『ごみ収集車のうた』をはじめとする、啓発活動の誕生秘話などをお伺いします。 |
当日お話いただいたのは(写真左から)橋本祐子さん、馬川賢一さんの2名です。進行はサポートオフィスの橋本が担当しました。以下、お話の内容をレポートします。
今日のお話の概要 1 相手の好きなこと、才能を見抜くことが巻き込むコツ 2 啓発には、立場が違う人が継続して伝えていくと効果的 3 人と会うこと、出向くことを惜しまない。一方的に伝えるだけではなく人から聞いたことを次の啓発活動に活かす循環をつくる |
―うまちゃん&ゆうちゃんの活動
うまちゃん: うまちゃんこと馬川賢一です。うまちゃん&ゆうちゃんは町田市を中心に、幼稚園、保育園、小学校、中学校、高校、町内会・自治会、市内イベントでごみ減量の啓発活動から生まれたユニットです。具体的には、ただ話すだけでなく、音楽や紙芝居を用いて、面白く、楽しく関心を持ってもらう活動をしています。個人としては、町田市ご当地シンガー「うまけん」としても活動をしています。依頼があればごみ減量の話も音楽に交えながらやらせてもらっています。
ゆうちゃん: 私はゆうちゃんこと橋本祐子です。長くアパレル会社に勤めていて生産担当でした。自分たちが作った洋服がすごく捨てられているというのが心苦しかったですね。子育てもあり会社を辞めて、ご縁があって町田市の消費生活センターの産休代替職員として働くことになりました。消費者教育担当という仕事で、働きながら学べるということでとても良い職場でした。産休代替で期限が決まっていたので、ちょうど次の職場を探すタイミングに町田市役所環境資源部で幼稚園や保育園の出前講座担当という募集があったんです。アパレル時代の経験でごみのことがが引っかかっていたことと、消費生活センターで学んできたこととかが今の活動につながっています。
最近は、市外でもお伝えしたいと思って、他の自治体で、ごみの減量、食品ロス、エシカル消費や整理収納アドバイザーの資格も取ったので、お片付けからごみを減らすというテーマなど、ごみ減量の講師活動もしています。
―うまちゃん&ゆうちゃん立ち上げの経緯と活動の展開
うまちゃん: もともと町田市として出前講座という形で小学校に出向いてごみのお話をしていました。自分自身がメイン担当になってからは、小学校に出前講座に行くだけでなくて、保育園や幼稚園の小さい子にも伝えようということになりました。
その時に、ごみ収集の現役のおじさんたちが、保育園でごみの分別を教える活動をしました。小さい子にもわかりやすいようにということで「紙芝居」や「変身ボックス」というちょっとした装置、分別ゲームなど楽しめる内容を盛り込みました。その中で「歌をつくろう」ということになり、上司に企画書を出したら「責任とるから面白いことをやってみろ」ということで「ごみ収集車の歌」ができたのです。

保育園での出前講座の様子
その後、子どもたちにごみ収集車をもっと好きになってもらいたいと思って、スケルトンごみ収集車「みえるくん」を提案しました。ちょうどトーマスやカーズなどのキャラクターが流行っていたので、車を擬人化したら子どもたちに人気になるかなと思って顔もつけようと。これも上司が「面白いからやってみろ」と言ってくれて1年くらいで実現しました。顔は自分たちで後からつけ、2013年5月30日に誕生しました。

子どもに大人気スケルトンごみ収集車のみえるくん
その頃からどんどん啓発活動に声がかかるようになって、人手が足りないので「出前講座専用職員を採用したい」と上司に相談し、応募して採用されたのがゆうちゃんです。
4月から早速ゆうちゃんには出前講座をやってもらわなくてはいけないということで、当時のゆうちゃんの職場に台本を送ったんです。職場の共通メール宛だったので、他の職員さんの目にもとまって「これからはゆうちゃんになるんだって!」と盛り上がったそうです。
ゆうちゃんの初出勤は、いきなりイベント出展の日でした。その後はすぐにリハーサルをして、保育園・幼稚園の出前講座に行き始めました。多いときは、年に120回ほどやるようになりました。
その後、2人で学童保育でも出前講座をするようになりました。学童保育クラブでは、3Rを知ってもらいたいとうことで3R講座をはじめました。この時点では「ごみ収集車の歌」1曲しかなかったので、「3Rの歌」を作り、それから1曲1曲持ち歌が増えていきました。
また、コロナ禍には出前講座の依頼がまったくなくなってしまいましたが、啓発は続けたいといって始めたのがYouTubeです。「町田市公式動画チャンネル」で「さんあーるチャンネル」というのをやっています。この中で「ごみ収集車の歌」の動画再生数は3万回を越えました。
■トークセッション
Q1.啓発活動をお二人が継続する中で、印象に残っていることや嬉しかったことをお聞きできればと思います。
うまちゃん: 子どもへの啓発活動って効果がすごく見えるんですね。『給食の時に、「ご飯は全部食べなくちゃいけないんだよね。ごみになっちゃうんだよね」って子どもから声があがります』とか『「ご飯残しちゃいけないんだよ」って子どもから言われてハッとしました』というような声を先生方や保護者から聞くと効果を実感できすごく嬉しいですね。あとは中学生や高校生になっても我々のことを覚えてくれている子がいて、「あ、ごみの話をしたおじさんだ」という感じで声をかけられます。実際にごみ減量に取り組んでくれている話なども聞いたり、そういうことがあると本当にやっていてよかったなと思います。
ゆうちゃん: やっぱり子どもたちがすぐ実践してくれて、「ご飯残さず全部食べてくれました」とかを先生から聞くと嬉しいです。継続していることで、小学校・中学校・高校に行ったときに「子どもの頃聞いたことある」と言ってくれる子が多くいます。環境教育って継続してやってくことが絶対大事だと感じています。
例えば、「ご飯を残さず食べようという」ということを、お家の人も言う、保育園や幼稚園の先生も言う、それをさらに私たちのような第三者が言う…そうやって立場が違う人が代わるがわる言っていくということが啓発には効果的だと思います。いろいろな人から言われると、やっぱりそうなんだって納得できるじゃないですか。啓発活動ってすぐには数字としても現れにくいけど、繰り返し取り組んでいくことがやはり大事だと思っています。
Q2.啓発活動はお二人だけでなく市の職員の方が他にもたくさん参加して取り組んでこられていると思いますが、どうやって巻き込んできたのか、コツを教えてください。
うまちゃん: 保育園の出前講座は最初は3人でやっていました。結構まわりを探すといるもんなんですよ、絵がうまい職員とか。脚本はほぼ僕が考えるんですが、それを忠実に絵にしてくれる職員がいたんです。その職員は、絵を描きたいし、自分で描いた紙芝居を読みたい。それ以外にもハーモニカがうまい職員がいて、「録音するからハーモニカ吹いてくれる?」って言ったら吹いてくれ、それで「決まりね」って言って参加してもらったり。市役所の仕事って決まっていることも多いけど、得意なことを発揮できるし、やったこともないようなことが楽しいという感じでみんな参加してくれたのかなと思います。
ゆうちゃん: うまちゃん&ゆうちゃんが、全部の啓発活動に行っているので目立つけど、啓発活動はチームでやっているんです。小道具をつくってくれたり、裏方をする人がいてくれたり、その時によって全員で啓発に行ったり、今でもチームで動いています。いろいろなメンバーがいて、それぞれの得意を活かして活動しています。
うまちゃん: 才能を見抜くのが僕は得意なんです。それがコツですね。
Q3 お二人はお仕事で啓発活動をされていて、それぞれ個人でも地域での活動をされています。仕事と地域活動の両軸で活動することによる相乗効果があれば教えてください。
うまちゃん: すごくありますね。仕事でいろいろ行くうちに地域の方とのつながりができて、仕事以外でもやりとりするようになりました。ソロで音楽活動を始めたら、その活動を見た人から市の啓発活動を呼びたいと声をかけてもらったり、逆もあったりしました。
ゆうちゃん: 私は、最近個人としての活動も始めたのでこれからですが、どんどん人と人とのつながりが生まれるのだろうなと楽しみです!
Q4 行政と市民との距離が近い啓発活動を行うコツがあれば教えてください。
うまちゃん: 私自身、最初はごみ収集車の運転手をやったりと現場も経験しています。啓発活動は市の職員としての仕事だけど、プロフェッショナルとしてごみ減量の知識を伝え、アーティストとしてもやっていくということは心掛けています。
ゆうちゃん: 人と会うこと、出向くことを惜しまないということかなと思います。会う回数を増やす、会う人数を増やす。実際に人と会うということが大事だと思います。そこからアイデアも出てきます。
うまちゃん: 今は、電話で市民からの問い合わせを受けるする仕事をしているんですけど、高齢化してごみの悩みもこんな風に変化しているんだというのが電話越しでもリアルに伝わってきます。そこで学んだことをまた今度の啓発活動に取り入れようなど、一方的にしないことが大切。素直に受け入れて、次に活かす。そういう循環が大切だと思っています。
参加者からの質疑応答
Q 今後の活動についてどういう未来を描いていますか。
うまちゃん: 日本中旅して講演会できたらいいなと思っています。あと、YouTubeももっとやりたいですね。この前、歩いていたら『「さんあーるチャンネル」のうまちゃんゆうちゃんですね』って声をかけられたんですよ。
ゆうちゃん: 町田市でごみ減量の啓発をしていますが、日本全国、世界全体で必要。私はこの活動はシティプロモーションでもあると思っています。啓発活動をすることで町田市のことを知ってもらうことにもなるので、活動地域を広げたいと思っています。
Q 啓発活動の準備にどれくらいかけていますか。
うまちゃん: 立ち上げたときは、かなりしっかり台本をつくっていました。最近は、ここでYouTube撮っちゃおうって即興で動画作っちゃうこともあります。ただ、間違ったことは伝えちゃいけないのでしっかり調べます。
ゆうちゃん: 慣れてきた今でも各本番のリハーサルは必ずしています。準備をしないでやるのは、相手に対して失礼になってしまうので。準備をしているからこそ本番が楽しくできると思っています。
Q 毎週境川の川清掃をしています。ごみを減らすアイデアを教えてください。
うまちゃん: 最近ぼくも境川のごみの清掃に行っていますが、ほとんどが、小さなプラスチックゴミ。ひとりひとりがゴミを減らす、ポイ捨てをする人を減らすことからだと思います。
ゆうちゃん: 好きなこととか好きなものを入口にするのが良いかなと思います。私の好きな写真家が、まずは動物を好きになってもらって、動物の暮らしという点から環境に関心をもってもらうと話していたのですが、好きなことにつなげてやっていくのは良いかなと思っています。
Q 他分野とのコラボは何か考えていますか。
うまちゃん: ごみに興味ある人は少ないので、他のジャンルとのコラボは大事だと思っています。お笑いとかエンタメとのコラボとか。
ゆうちゃん: コラボできないものがないんじゃないっていうくらいごみは、いろいろな分野とコラボできますね。
■クロージング
みんなの経験共有会では、最後にゲストの方からメッセージを掲げていただき、クロージングとしています。うまちゃん、ゆうちゃんにとって「たのしいごみ減量啓発活動」とは?
うまちゃん:愛と平和に満ちた地球をつくるきっかけ
ふざけているようで、ど真面目なんです。町田でプロスポーツが活躍している、色々なイベントが盛り上がっている、これって良い環境に恵まれているからなんですね。世界のどこでもできているわけではなくて、ごみがあふれた劣悪な環境の地域もあります。ごみ減量というのは環境や地球の事を考えるきっかけになるのかなと思っています。
ゆうちゃん:人とのご縁
ごみを減らしたくて活動しているのですが、本当に多くの人とのご縁を頂いています。ごみは生活と切っても切りはなせないものです。その啓発活動を通じて人とのご縁もできました。最後にみなさんに伝えたいのですが、ごみ減量とか分別をがんばったらぜひ自分をほめてほしいですね。ごみの減量ってやってあたり前と思われますが、「きちんと分別できた」「ごはんを残さず食べれた」という時はぜひ自分で自分をほめて自己肯定感をあげてください。
当日のアーカイブ動画をご覧になりたい方は、サポートオフィスまでメール(info@machida-support.or.jp)でご連絡ください。
過去の開催記事はこちらからご覧ください。
<2025年度温故知新シリーズ>
▼4月:みんなの経験共有会vol.22「町田から全国へ広がるボランティア ~まちだサポーターズのあゆみ~」
https://machida-support.or.jp/report/report_vo22/
●2024年度の過去回再開の実施報告は、下記ページからご覧ください。
*記事の最下部に過去回のリンクを掲載しています*
https://machida-support.or.jp/report/salonvol21-2/
●2023年度の過去回再開の実施報告は、下記ページからご覧ください。
*記事の最下部に過去回のリンクを掲載しています*
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●2022年度の過去開催回の実施報告は、下記ページからご覧ください。
*記事の最下部に過去回のリンクを掲載しています*
https://machida-support.or.jp/report/performance/salon03/