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実施報告performance

実施報告 2023年03月02日

【実施報告】みんなの経験共有会vol.9~事務局やってみた! 「地域活動をスムーズに進めるためのコツ 経験共有会」を開催しました

2月27日(月)18時~19時30分、玉川学園コミュニティセンターにて、みんなの経験共有会vol.9「~事務局やってみた!地域活動をスムーズに進めるためのコツ 経験共有会」を開催し、14名の方にご参加いただきました。

今回は、団体の代表ではない立場で、団体の代表をあの手この手で支えているお三方にお越しいただき、事務局として活動をスムーズにすすめていくコツや実際に使っているツールなどについてご紹介いただきました。ゲストは、一般社団法人つるかわ子どもこもんずの横山雅代さん、認定NPO法人エンディングセンターの井上美香さん、きんじょの本棚 番頭の荒木光信さんにお越しいただきました。進行はサポートオフィスの喜田が務めました。

 

会場は何度も笑いに包まれながら和やかに進んでいきました。

 

事務局やってみた!ポイントまとめ

1 判断に悩んだときは事務局のメンバーでよ~く話し合って決める
2 事務仕事は、スムーズかつ慎重に進めることがポイント
3 楽しく参加しながら、客観的視点を持ち続ける


以下、トークセッションの様子をご紹介します。


<自己紹介>

荒木さん:
きんじょの本棚の番頭の荒木と申します。お店や家の前に小さい本棚を置いて本を貸し出す活動なので、町田の中を歩いていると見たことある方もいらっしゃると思いますが、まちの本棚をやっています。最初から目的があったわけではなく面白くて始めました。後付けですが、きんじょの本棚では本を通して人との交流の場を作ることができるのではないかと考えています。現在、町田を中心に、北は群馬、南は沖縄まで164店舗あります。ただ本棚を置くだけではつながりができませんので、交流の機会として年に1回野津田薬師堂で「きんじょの本棚まつり」を開催しています。「きんじょのラジオ」というイベントもやっていて、これまでに6~7回やりました。月1回本棚の店主(お店や家の前に本棚を置いている人)同士で集まり、オンラインでしゃべる「店主会議」もあります。

井上さん:
認定NPO法人エンディングセンターの井上と申します。日本でいち早く桜の下で眠る樹木葬を広げた団体です。「世の中になくてはらならないのに、ないものを創造する」というビジョンを掲げ、市民団体として長く活動してきました。認定NPO法人格を取得し、たくさんの方に信頼をいただいている法人です。

墓地には、「あなたが生きたこと 桜は忘れない」という標語が書かれており、春になると9種類700本の桜が咲き、墓地がピンク色に染まります。普段はお花見をする人がいたり、子どもたちが走り回ったりと、墓地らしくない場所になっています。

当法人ではお墓を販売するだけでなく、「墓友」活動も展開しています。血縁ではなく、結ぶ縁と書いて「結縁(けつえん)」とし、家族に代わるサポートネットワーク活動も続けています。「もう一つの我が家」という一軒家型の居場所を鶴川の真光寺に持っていて、ここでも会員によるさまざまな活動が行われています。毎年桜の時期には、家族や墓友と「桜葬メモリアル」という故人を想う会を開催します。また、家族の代わりとなって喪主となるエンディングサポートというサービスも展開しています。代表の井上は義理の母で、私は義理の娘にあたります。

横山さん:
一般社団法人つるかわ子どもこもんずの理事をしております、横山です。法人化をテーマにしたみんなの経験共有会vol.1では代表が登壇しました。

つるかわ子どもこもんずは一昨年の7月に一般社団法人になりました。法人化するにあたりロゴマークがほしいということで、鶴川の地に根を張り、子どもたちがカラフルな実をつけてくれるようにという意味を込めた木のデザインのロゴマークにしました。コピーもほしいなと思いましたので「子どもと大人がつながって、くらしやすい優しい地域に」という文言が名刺やパンフレット入っています。団体名の「つるかわ」は鶴川地区のこと(近接している川崎市も一部入る)を指していて、「子ども」は20歳未満を想定しています。「こもん」は「結(ゆい)」とほぼ同義です。「ず」には、安心していられる場所が地域に複数あることを願っているという意味が込められています。

事業は、「無料塾結い」、「結いの学校」、「ふだんごはん えん」、「学びLABO 楽」、「フリースクールSOU!」などです。また昨年、キッチンカーをクラウドファンディングで購入することができました。今年5月からは移動子ども食堂を実施する予定です。

 

<トークセッション>

Q1.限られた資源(お金、時間、人材、スキル)の中で、事務局として動いていく楽しさや難しさについて教えてください。

荒木さん:
好きな人・やりたい人が集まっているグループなので、統制が取れている感じはありません。困っていることは、「おやびん」(代表)が何を言っているか分からないことですね(笑)「今日いいこと思いついちゃった~」と毎日言っているような気がします。面白いのですが、あまりにいっぱい連絡が来るから、1つ1つ「何がやりたいんですか?」、「どういうことですか?」と整理して聞くんです。おやびんがペラペラしゃべったことをまとめるのが楽しいかつ難しいことの1つです。

井上さん:
うちも代表が思いつくことがたくさんあります。どんどん活動している人なので、夜中もあまり寝ていないのか、2時にメールが届いたりとずっと動いているようです。深夜のメールだけは勘弁してくださいとお願いしています。

法人では私が若手で、70代のスタッフまでわいわい明るい雰囲気です。PCの操作などでわからないことがあるときはみんなでどうしようと考えていきます。スキルの高い人たちが多いので、得意なことと苦手なことを補い合うという形でそれぞれができることをやっています。代表の想いを実現してあげたいという気持ちと、事務局側の忙しさを天秤にかけながら日々取り組んでいます。

横山さん:
まず、私がここに登壇していいのかしらと思い「事務局」ってなんだろうと調べちゃいました。ネットによると、事務的なこと、運営的なことどちらも指すということでしたので、まだ不完全な部分もありますがお話させていただきたいと思います。私を含め3人の理事メンバーは、理事であり、プレーヤーであり、事務局でもありますね。ちなみに、うちも代表から今朝2時にLINEが入っていました(笑)代表あるあるなのでしょうか。

現在少額の助成金はいただいていますが、もっと大きな金額の助成金がほしいと思い助成金の説明会に出てみました。そこで助成金とは、自分たちが考えていたものとはそもそも違い、もっと運営や事務局をしっかりしなくてはいけないんだ!ということが分かりました。今話し合い、事務局の役割を整理しているところです。

Q2.うまく事務局機能を回していくための、お約束事や役割分担、ルールなどあれば教えてください。

荒木さん:
事務局だからやらなくてはいけないということは決めていないのですが、きんじょの本棚まつりを例に挙げてお話します。準備委員会で2週間に1回くらい打ち合わせをするのですが、メンバーに対して「やってくださいね」という直接的な言葉はかけません。雰囲気を作り、「やりたい」と手を挙げていただけるような場は作るようにしています。「やりたい」を引き出すような質問はしますが、決めつけず、これをしてください!とは言いません。ただ、やりたい人を1人にはしない。役割を重ね、複数人で協力しながらできるような体制になるよう調整しています。

井上さん:
エンディングセンターは会員が3700名ほどいるので、非常に電話がかかってくる件数が多いです。どんな人からどんな内容で連絡があったかは、日報で次の人につなぐようにしています。内容は、顧客管理データにも入れています。常勤でもパートでもそれぞれ流れが分かるような仕組みを作っているので、その日にいなくても情報が確認できるようになっています。

横山さん:
最近になって初めて役割分担を明確に決めました。なんとなくは決まっていたのですが、苦手なことはなかなか誰も手をつけないので、事務局機能で抜け落ちていることがありました。必要な事務局機能を理事で全て洗い出して確認し、苦手なことはもっと周りの人に助けてもらおうということを決めました。また、kintone *1を導入することにしたので、業務の効率化を進めていきたいと思っています。理事やサポーター、子ども、親、それぞれが見られる範囲(権限)を細かく指定できるので、全員で使っていくつもりです。

*1 kintone:プログラミング作業無しで日報・スケジュール管理・お問い合わせ管理・顧客管理などの業務で実践的に使えるアプリを作成・運用できる業務改善プラットフォーム。非営利団体は「チーム応援ライセンス」という安価なプランを利用することができる。


Q3.事務局をスムーズに進めるために使っている便利なツールはありますか?

荒木さん:
事務局はLINEグループでやりとりしています。店主さんたちとはFacebookグループを使っています。打ち合わせのときにはオンラインホワイトボードのMiro *2を使い、ふせんなどを使って話をまとめています。いずれも無料で使える範囲で活用しています。

*2 Miro:チームの共同作業を支援するWeb上のホワイトボードサービス。

井上さん:
Google Workspace *3の中に共有事項を記録するようにしています。Appsの中にあるものは検索性があるので、情報を共有するときに手軽です。関西にある事務所でも同じく使っています。Googleアカウントがあればどこからでも見られるので便利です。情報を編集するときにはアクセス権限を使っています。データベース管理システムも使っていて、そこから過去のデータにもアクセスできるようになっています。

*3 Google Workspace:GoogleのサービスであるGmail、カレンダー、Meet、Chat、ドライブ、ドキュメント、スプレッドシート、スライド、フォーム、サイトなどのツールを利用できるグループウエアサービス。

横山さん:
理事3人ではLINEを多用していましたが、情報が流れたり落ちたりしてしまうこともありました。無料塾結いの学習支援の情報共有には、Slack *4を使っていましたが、有料になったこともあり、kintoneにまとめることになりました。会議は、対面で集まれないときはZoomも使っています。

*4 Slack:チャット形式でコミュニケーションが取れるツール。プロジェクトごとにチャットグループを作ることができ、音声通話にも対応している。


Q4.前職などで培った力で、地域活動に活きていることがあれば教えてください。

井上さん:
前職では営業をやっていたので、何を言われても受け流すことができます(笑)
また、NPOでの仕事を始めてみて、PTA活動に共通していることがすごく多いなと感じました。子育てなどで一旦仕事を休み、これから再開したいけどどうしようかなと考えている方は、仕事を始める前にPTAなどで学校で活動してみると、地域の方とのふれあいや先生との折衝など、仕事に近いものが経験できると思います。

横山さん:
私は事務作業がものすごく苦手なんです。ただ、出版社で編集の仕事をしていたので、こもんずの宣伝物を作るときには編集やデザイナーさんとのやりとりなどは役に立っています。また、ISOマネジメントの仕事を担当していたことがありました。そのときは嫌だったのですが、そこで培ったものは今すごく役に立っています。

 

Q5.(会場の方からの質問)団体を立ち上げたばかりの者です。問い合わせが来たときのメール返信に時間がかかってしますのですが、皆さんどうされていますか?また、組織の目指している方向性とスタッフの対応が少し異なるなと思ったときの対応の仕方なども聞きたいです。

井上さん:
メールはうちも同じく、非常に時間がかかります。メールでお返事して、必要に応じてお電話でも丁寧に対応するときもあります。

横山さん:
メールはすぐに返せるものは返して、難しいものはLINEで3人で相談してから返信します。基本的には子どもの対応が優先なので、返信が遅くなってしまう時はその旨を正直に伝えるようにしています。

スタッフの対応に関してですが、私たちにもそういう経験があったので、理事で話し合って必ず研修をするようにしました。研修を通して団体のスタンスをお伝えするよう努めています。色んなNPOのやり方を調べて、ボランティアの方には子どもに接する前に基本的な研修を実施するということと、事業に沿った研修や年に1回のステップアップ研修も実施することを決めました。

メディアや新聞の取材に関しても、子どもたちへの対応について事前に伝えておいたほうがいいこともあるので、取材を受ける前に必ず打ち合わせをさせていただくようにしています。

荒木さん:
とにかく1人でやるより、周りに相談するということですね。

 

Q6.(会場の方からの質問)皆さんのお話や紹介いただいたツールは参考になりました。ツールに関しては、便利な一方で言葉の使い方、伝え方など難しい部分もあるなと思います。皆さんが気を付けていることがあれば教えてください。

井上さん:
難しいときはみんなでよく話すようにしています。みんなで話すと、傾向や以前こういうことがあったよ、こう対応したよというアイデアが出てきます。また、お返事するタイミングなども考えて、慎重に対応しています。

荒木さん:
そのための事務局ということもあると思います。やりたいことをやるチームがあり、客観的な事務局がいて、何かあったときにはサポートする、という立ち位置を作っておくということが大切だと思いますね。

 

Q7.(会場の方からの質問)情報発信をどのように強化していますか?会計や資金獲得などのコツもあれば教えてください。

荒木さん:
情報発信は、踊ってもらう人に踊ってもらうのがいいと思っています。「この人が書けばみんなが見る」という人(代表)に発信を促すようにしています。自分自身も発信しますが、長く書かず、短く出す。おっ、綺麗だななど目に付くものを投稿する。短くていいから投稿の数を増やして、それ以降はコメント欄でコミュニケーションする。書きたい気持ちのある人は多いと思いますが、シーンとしていたら書きにくくなるので、数を増やすといいと思います。多少おっちょこちょいな感じでも気にせず出したほうがいいですよ。

横山さん:
情報発信は代表が助成金を貰うためにもしっかりやってくれています。もう1人の理事がSNSの投稿は上手なのでかなりお任せしています。ですが負担が大きいので、1つ投稿をしたら加工して他の媒体でアップしてくれるようなサポーターさんがほしいねと話しています。

 

<クロージング「あなたにとって事務局とは?」>
経験共有会では、最後にゲストの方からメッセージを掲げていただき、クロージングとしています。今回の一言は、「あなたにとって事務局とは?」です。

 

ゲストの皆さん。左からつるかわ子どもこもんずの横山さん、エンディングセンターの井上さん、きんじょの本棚の荒木さん。

横山さん:苦手だからこそ楽しく!!
苦手だからこそ楽しくやっちゃおうと思っています。

井上さん:架け橋
会員と団体や代表とがつながるために必要な架け橋的な存在だと思っています。

荒木さん:問い
店主たちに、「なにがやりたい?」「(やりたいのは)どっちの方向ですか?」と問いかけるのが大事だなと思うので。

 


次回みんなの経験共有会vol.10は、まちチャレやってみた! 「市民提案型事業 講座づくり★まちチャレ経験共有会」です。
町田市生涯学習センターの事業「まちチャレ」で今年度仲間と一緒に企画作りをした方をゲストにお招きし、お話いただきます。

▼詳細・申込はこちら
https://machida-support.or.jp/event/salon202303/

 

過去開催回の実施報告は、下記ページからご覧ください。

▼みんなの経験共有会vol.1~法人を設立してみた「NPO法人・一般社団法人設立経験共有会」
https://machida-support.or.jp/report/performance/salon04/

▼みんなの経験共有会vol.2 ~協働事業やってみた!「協働事業に取り組んだ経験共有会」
https://machida-support.or.jp/report/performance/salon05/

▼みんなの経験共有会vol.3~学生と一緒に活動してみた! 「学生との協働事業に取り組んだ経験共有会」
https://machida-support.or.jp/report/performance/salon06/

▼みんなの経験共有会vol.4~オンラインイベントやってみた! 「オンラインイベントのコツ経験共有会」
https://machida-support.or.jp/report/salon07/

▼みんなの経験共有会vol.5~助成金にチャレンジしてみた!「助成金の活用経験共有会」
https://machida-support.or.jp/report/performance/salon10/

▼みんなの経験共有会vol.6~マルシェやってみた!「マルシェ開催の経験共有会」
https://machida-support.or.jp/report/performance/salon11/

▼みんなの経験共有会vol.7~まちカフェ!でチャレンジしてみた「まちカフェ!経験共有会」
https://machida-support.or.jp/report/performance/salon12/

▼みんなの経験共有会vol.8~仲間と一緒に仕事をおこしてみた! 「労働者協同組合 経験共有会」
(前編)https://machida-support.or.jp/report/performance/salon01-2/
(後編)https://machida-support.or.jp/report/performance/salon01/

 

 

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