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実施報告performance

実施報告 2025年06月17日

【実施報告】まちカフェ!インクルーシブ研究会vol6「多文化共生~町田に住む外国ルーツの方とお話しましょう!~」を開催しました

6月5日(木)、まちカフェ!オープンデー内で<まちカフェ!インクルーシブ研究会vol6「多文化共生~町田に住む外国ルーツの方とお話しましょう!~」を開催し、20名の方にご参加いただきました。講師は、町田で多文化共生にそれぞれが取り組んでいる〈たぶまち〉の荒明美奈子さん、村田淳子さん、西田真美さす。また、町田で暮らす外国ルーツのゲストとして鈴木インダさん、鄧彬さんにもご登壇いただきました。

 

現在、116か国・10,362名の方が町田に住んでいる(2025年3月時点)そうで、傾向としては、日本に長く住む方、家族滞在(子どもたちの数)が増えているそうです。そのような現状を共有した後、前半は登壇された皆さんの活動内容の紹介、後半では町田市在住の外国ルーツのお二人を交えてのトークセッションを実施しました。町田市に住む外国人のお二人からは、実際に町田市に住んでの感想や課題感、こんなふうに暮らせたらいいなというとてもリアルなお話をいただきました。


 

インクルーシブ研究会vol6  結論と考察

1 まずは、相手を知ること。相手のバックグラウンドや気持ちなどを自分に置き換えて、想像しながら話を聞くことが、「内と外」の壁を低くしていく

2 違いに触れる機会をたくさん持ち、そこで発見することに楽しみを見出す

3 言葉は「伝えるための道具」。相手のことを思いやり、伝わるように話すことが重要

考察: 違いを知り、楽しむことが多文化共生であり、良いまちづくりにつながっていく。

インクルーシブ研究会全体の様子

 


〈登壇者の皆さんの自己紹介と各取り組み>

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荒明美奈子さんより
(たぶまち/町田国際交流センター/町田やさしい日本語の会)
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●<たぶまち>について
「お互いの文化を認め合って過ごせるといいな」という共通の思いを持つ、村田さん、西田さんと一緒に活動している。 現在は「みんな違ってみんないい」という気づきを得られるような冊子の作成中。

町田やさしい日本語の会について 
やさしい日本語の使い方を学ぶ勉強会を開催したり、災害についてのリーフレットを作りそれを広めたりする活動をしている。
外国の方とコミュニケーションを取るときに「英語をしゃべらないといけない」と思う方も多いが、やさしい日本語を使えば大丈夫。

町田国際交流センターについて 
日本語教室、外国人相談、子ども教室などの事業をボランティアを主体として行っている。
毎週土曜日に日本語に困っている子どもたち(小学生)を対象とした日本語教室も開催(ボランティアの方は常時募集中!)。

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村田淳子さんより
(たぶまち/町田にほんごスクールネット)
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町田にほんごスクールネットについて 
市の教育委員会からの依頼を受けて日本語を十分理解していない小・中学生に日本語の指導を行うこと(学校支援)、もう一つは学校支援をしている学習者の中で更に学習をしたいという中学生の希望者に土曜日の午後2時間学習を支援する(中学生教室)という活動をしている。

活動を通じて、自分の意志ではなく来日した外国ルーツの子どもたちをとりまく困難さをとても感じている。直接的な暴力などのいじめは少ないが、他の子どもたちとの距離が縮まらないという状況が多々ある。

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西田真美さんより
(たぶまち/多文化クラブDANRO)
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多文化クラブDANROについて 
Lets be friendsを合言葉に活動している地域活動です。親子クラブ、日本語クラブ、地域での協働活動など、多岐にわたる活動を行っています。その他に多文化クラブDANROでは、LINEを使って英語と「やさしい日本語」で情報交換をしています。

 

<トークセッション>

後半は、西田さん、村田さんが、進行役となり外国ルーツのゲストお二人を交えたトークセッションを実施しました。

<自己紹介>

●鈴木 インダさん(インドネシア)

インドネシア出身です。来日して5年になります。

●鄧 彬(トウン ピン)さん(中国)
中国出身の鄧です。2014年頃に日本に来ました。

<トークセッション>

Q なぜ日本に来たのか
インダさん: 夫が日本人なので、結婚し来日しました。コロナ禍でインドネシアに帰国できなくなり、日本で暮らすことになりました。日本で、出産し子育てしています。

鄧さん: 夫の仕事の関係で、家族3人で日本に来ることになりました。来日当初から町田で暮らしています。

Q2 日本に来て驚いたこと
インダさん:  信号をしっかり守る日本人に驚きました(笑)。インドネシアでは車が来なければ渡りますから。今は、子どもが真似すると危ないので、私もちゃんと守っています(笑)。 あとは、日本人は少しクールだと感じました。インドネシアは「微笑みの国」なので、いつも笑顔です。日本に来て知らない人にも笑顔でいたら変な人だと思われてしまいました。それと、日本人は、YES/NOをはっきり表現しないのが、最初は分かりにくかったです。

鄧さん:  日本で驚いたのは電車です。とても乗りやすくて便利だと感じました。一度車いすの方と一緒の時があったのですが、駅員さんが丁寧にスロープを出して、乗り降りのサポートをされていて感動しました。

Q 日本で大変だったこと
インダさん: 来日した時、妊娠中でしたが、コロナ禍で夫は付き添えなかったので、一人で病院に通ったのが大変でした。日本語ができなかったので、「順調」という言葉だけを覚えて、他は何を言ってるかわからなくても最後にお医者さんが「順調」と言えば「良かった!」と思っていました。

鄧さん:  子どもが学校に入ると、様々な違いに戸惑うことが多く、友だちもなかなかできずに学校に馴染むまで大変でした。 その間、子どもが辛そうにしているのを見て、私もとても心苦しかったです。今は、友達もできて大丈夫になりました。

Q 手続きなどで困ったことはありますか
鄧さん: カタカナやひらがなが最初は分からなかったので、日本語の書類を渡されても分からず困りました。

インダさん:  母子手帳は、インドネシア語のものもあるんですよ。インドネシア語と日本語と両方書いてあります。他の手続きもそうなると良いですね。

Q 町田の好きなところ
インダさん:  町田の特徴は、東京だけど神奈川県にも近く、半分都会で半分田舎という感じですね。自然もたくさん残っていて、バランスが最高です。

Q お二人の普段している活動など
インダさん: 10年前に妹と2人でインドネシアで立ち上げた会社の仕事をオンラインで続けています。日本では、昨年から演劇を始めました。年に1回公演があります。今年も10月に上演しますので、皆さんぜひ来てください。インドネシアでも中学生から25歳までずっと演劇をやっていました。難しい日本語もありますが、台詞を覚えて演じています。

鄧さん: 今は、もう一度勉強したいと思い、夜間学校に通っています。年下の方もいて若返った気分です。年上の方も、私のような外国の方もいます。算数や英語なども勉強しています。最初は大変でしたが、だいぶ慣れてきました。好きな教科は体育ですね。

<会場からの質問・感想>

Q ハラール、ベジタリアン、ヴィーガンなど、国によって食べられるもの・食べられないものがあり、それを日本の方に説明するのにとても苦労しています。何か良い伝え方やキーワードがあれば教えてください。また、日本の日常生活の特徴として、自分のサークルの外側に対して少し鈍感で、内側ですべて完結させる傾向が強いと感じています。この点についてどうすれば良いか、お考えがあれば教えてください。

西田さん:  先日インダさんがクッキングクラブを開催してくださり、インドネシアのお料理を作ってくれました。「お肉もハラールの処理をしたものが必要」といったことなどを料理をしながら教えてくださったんです。もし食の文化に興味がある方がいらしたら、実際レストランに行って食べてみたり、周りの友達に聞いてみたりと、体験してみるのがとても大切だと思います。やはり、実際に人と触れ合って文化を学び合うのが良い方法だと感じました。

村田さん: 「内と外」についてですが、内と外との間の垣根をずっと下げていって「外」が「内」の延長線上のような気持ちになっていかないと、オープンになるまでには至らないのかなと思っています。そのためにまずは、相手を知ることが大事です。今日のような機会を通じて、相手のバックグラウンドや気持ちなどを自分に置き換えて、「もし自分だったら嬉しかっただろうな、困っただろうな」と想像しながら話を聞くことが、「内と外」の壁を低くしていく解決法だと感じています。

西田さん:  「内と外」というのは日本の文化の一つだと感じています。やはり「内」に対しては、信頼や安心がある。一方、「外」は、未知の世界で不安を感じるから、分けたがるのかなと。「不安」や「心配」はあまり良いものを生まないので、違いに触れる機会をたくさん持ち、そこで発見することに楽しみを見い出すこと。違いが面白いと思えるような心のあり方は、多文化共生だけでなく良いまちづくりのためにも必要だと考えています。

村田さん: 「違う」ということが最初は大きくクローズアップされますが、案外共通点も多くて「なんだ、同じじゃないか」ということがあると「内と外」がつながるので、やはり知ること、接することが大事です。外国の方はご自分のことを知ってもらいたいと思っている方が多いので、遠慮しないで積極的に話しかけてくださることが非常に大切だと思っています。

会場からの感想: 今の話を聞いて、まず自分から殻を破るというか、壁を崩すことが非常に大事だと分かりました。やはり外国の方を見ると身構えてしまうことがあります。


Q  本日はお話聞かせてくださってありがとうございます。インドネシア料理も中国料理も食べてみたいなと思うんですけれども、町田の中でおすすめのお店があったら教えてほしいです。

インダさん: インドネシア料理屋は、今は町田にはないです。一番近くだと、海老名駅の近くに「カフェエナ(CAFE ENAC)」というお店があります。エナはインドネシア語で「美味しい」という意味です。

鄧さん:  町田駅近くの「蜀味軒(しょくみけん)」がおすすめです。


Q イベントを企画しているのですが、外国の方に出展してもらったり、ボランティアしてもらったりできると良いなと思いました。

村田さん:  一緒にイベントをするのは良いですね。言語の点が気になる方もいるかもしれませんが、今翻訳アプリはとても精度が上がっているので活用すると良いと思います。総務省がTokyo2020のために力を入れて作った多言語音声翻訳アプリボイストラ」があります。会話の時に特におすすめです。


<やさしい日本語ミニレクチャー> 

なぜ「やさしい日本語」が必要か

今日本にいるすべての外国の方の言語に対応しようとすると84言語が必要と言われています。一方で、日本にいる外国の方で英語が分かる人は約60%という統計もありますが、「やさしい日本語」なら約80%の人が理解できると回答しています。 

具体例 
・「高台に避難してください」→「高いところへ行ってください」
・「記入して提出してください」→「書いて出してください」。また、「書いてください。それから出してください」のように、二つの文章に分けると良いでしょう。
・「頭上注意」→「頭に気をつけてください」
・「電車は不通です」→「普通に動いている」、「普通電車(各駅停車)だけ動いている)」と誤解する方がいたという事例があります。「電車は動いていません」と伝えると良いです。
・「法令遵守」→「ルールを守ってください」

やさしい日本語とは?

やさしい日本語は、「優しい」日本語であり、「易しい」日本語です。「あなたとお話ししたい」「あなたと仲良くなりたい」という気持ちで会話を続けるための道具です。そのため、相手によって使い方は異なり、正解はありません。

はさみの法則」というのがあります。「っきりと、いごまで、じかく」を意識してください。曖昧な表現も避けるべきです。「やさしい日本語」は、敬語を使わないなど、一見ぶっきらぼうに聞こえるかもしれません。しかし、言葉は「伝えるための道具」ですから、相手に伝わらないことには意味がありません。相手のことを思いやり、伝わるように話すことが最も重要です。「やさしい日本語」を使うことは、外国の方だけでなく、高齢者の方、障害者の方などにも分かりやすくなります。


インクルーシブ研究会の過去のバックナンバーはこちらからお読みいただけます。

vol1「車椅子等、障がいがある方とのコミュニケーションの取り方」
https://machida-support.or.jp/report/performance/inclusivevol1/

vol2 「視覚障害の方の日常を体験しよう!」
https://machida-support.or.jp/report/performance/inclusivevol2/

vol3「子どもが安心できて心地よく過ごせる場づくりのヒント」
https://machida-support.or.jp/report/performance/inclusivevol3/

vol4「障がいと共に地域で自立して暮らす」
https://machida-support.or.jp/report/openday202410vol04/

vol5「まちカフェ!インクルーシブ研究会vol5「性の多様性を知り、みんなで仲間になろう!」
https://machida-support.or.jp/report/202411_vol5/

 

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