【実施報告】ファシリテーション基礎講座~AI活用ヒント付き!「準備・進行・まとめ」まるごと会議術
2026年7月25日(土)町田市立中央図書館にて、「ファシリテーション基礎講座~AI活用ヒント付き!『準備・進行・まとめ』まるごと会議術」を開催し22名の方にご参加いただきました。講師はNPO法人市民プロデュース理事長・平田隆之氏と、同理事・⼩柳明⼦氏です。
開催にあたり、町田市立中央図書館との連動企画として「ファシリテーション」に関する本を一堂に紹介するブックフェアが6月12日(金)から7月8日(水)に開催されました。
本講座では、長年地域づくりや会議進行に携わる平田氏・小柳氏より、会議設計の基本から困った場面への具体的対処法、そして話題のAIを使った会議運営の効率化ノウハウまで、会議の”モヤモヤ”をまるごと解決する実践的な手法についてお話しいただきました。
地域活動や市民活動で会議の進行役(ファシリテーター)を務める中で、「話がまとまらない」「一部の人しか話さない」「時間が足りなくなる」といったモヤモヤを抱えていませんか?
こちらのレポートでは、当日参加できなかったみなさまでもすぐに実践できる講座のエッセンスを余すところなくお伝えします。
目次
1.ファシリテーターの本当の役割とは?
2.会議の「4つのプロセス」と設計の秘訣
3.【実践】会議の「困った!」を解決する3つの技
① 話し過ぎる・主張が強い人への対応
② 話が脱線・迷走したときの軌道修正
③ 意見が出ない・静まり返るときの対処法
4.「見える化(板書・付箋)」が会議を救う
5.AIは「会議の最強の助手」〜初心者向け活用術〜
6.まとめ:一人の名司会者より、みんながファシリテーティブな場へ
1. ファシリテーターの本当の役割とは?
「ファシリテーターとは、会議を設計し、進行する人のこと」
会議の現場では、「急にやってきて上手く場を仕切ってくれる人」と思われがちですが、それは誤解です。ファシリテーターの真の役割は「参加者の主体性を引き出し、話し合いを促進すること」にあります。また、「会議を回す」という表現を使われる方もいるかもしれませんが、参加者を「回される側」にしてしまうと主体性を引き出すことにはつながりません。参加者全員が主役となり「発言しても怖くない」と思える安心安全な場を作ることこそが、ファシリテーターの第一歩です。

▲アイスブレイクの様子。グーチョキパーで答えられる問いに参加者全員が答えました。参加者同士がお互いのことを知る時間にもなりました。
2. 会議のプロセス設計の秘訣
会議は成り行きで進めるのではなく、事前にしっかりと「プロセス(流れ)」をデザインしておくことが不可欠です。会議には大きく分けて、以下の4つのフェーズ(段階)があります。その日行われる会議では、どの段階について話をするのかをあらかじめ設定し、参加者同士で共有することが理想的です。
会議の4つのフェーズ(段階)
共有: 日時、議題、求める意見、前回の振り返りなどを全員で確認する。
拡散: アイデアや困りごと、多様な視点をたくさん出し切る。
混沌: 意見の食い違いや脱線、議論の錯綜が起きる
(※ネガティブな現象ではなく、必要なプロセス)
収束: 出た意見を整理・優先順位付けし、結論やアクションに導く。
【重要ポイント】 「混沌」が起きても焦らないこと
「今、混沌のプロセスに入ったな」と一歩引いて冷静に眺め、見守る余裕を持ちましょう。 また、「拡散」の段階ですぐに「無理だ」「予算がない」と「収束」しようとすると、意見が出なくなってしまいますので待つことも大切です。また、1~4の段階は行き来したりする場合もあります。ファシリテーターは今どの段階にいるのかを客観的に把握して進行を進めていきましょう。
3. 【実践】会議の「困った!」を解決する3つの技
会場から最も多くの質問が集まった「会議での悩み」に対する具体的なテクニックをご紹介します。

①「話し過ぎる人」「主張が強い人」への対応
発言への感謝を伝える: 「〇〇さん、熱い想いや貴重なご意見をありがとうございます」と、まず肯定的に受け止めます。
時間やルールをはっきりと伝える:「今最初にお伝えした時間から5分超過しています。このまま続けますか?」と参加者に判断を委ねる。自分個人の意図ではなく「場のルール」としてはっきりと伝え、進行を区切ります。
発言量の可視化: 発言を板書(またはAI)で記録し、「特定の人の発言量が大半を占めている」状況を可視化することで、本人に客観的な気付きを促す。
②「話が脱線する」ときの軌道修正
「今日の会議の目的・ゴール」を目につく場所に掲示: ホワイトボード等に「今日決定すること」をみんなが見えるところに掲示しておき、いつも意識できるようにします。
「脱線」を冷静に観察する:ファシリテーターが脱線していると思っても、話し合いの中で重要なプロセスかもしれない、という心構えが必要です。「いまの話し合いのテーマとどのように関係していますか?」と確認したり、別の機会に取り上げるべきテーマとして一旦預かる、などの方法もあります。そのほかにも、一旦休憩を入れて仕切り直す、アイスブレイクを挟んで集中してもらう、なども効果的です。
③「意見が出ない」「沈黙」への対処法
問いかけ(テーマ)の分解:「まちづくりについてどう思う?」といった大きすぎる問いだと参加者は言葉に詰まってしまいます。「子供やお母さんが夏の暑い日でも立ち寄りたくなる場所ってどんなところ?」といったように、具体的にイメージできるサイズまで問いを詳細にして投げかけます。
ペアワーク(雑談)を挟む: 全体に向かって問いかける前に、「まず隣の人と1〜2分だけ感想を話し合ってみてください」と促し、その上で「今出た内容を全体にシェアしてください」と投げかけると発言のハードルがぐっと下がります。
選択肢の提示: 「どう思いますか?」ではなく、「A案とB案、直感ではどちらが取り組みやすいですか?」や「良いと思うアイデアにシールを貼ってください」など答えやすい形式に変換します。

▲当日は、参加申し込みの際に挙げられた質問から関心のあるテーマに参加者全員でシール投票しました。
4.「見える化(板書・付箋)」が会議を救う
声だけの議論は、声の大きい人の意見が強くなったり、他の意見が記憶から消えてしまったりします。会議では「見える化(可視化)」が強力な武器になります。
付箋を活用するメリット:
限られた時間で大量の意見が出せる。 声の大小に関わらず、全員の意見を均等に扱える。(「人」と「意見」を切り離せる)。
3つのルール(掲示して共有する):
1.否定しない(判断を保留する): 出された意見ついてその場で判断しない。
2.書いた付箋はすべて出す: 「他の人と違うかも…」と思った意見こそ宝物。
3.演説禁止: 長々と話さず、話すと聴くをバランスよく。
5. AIは「会議の最強の助手」〜初心者向け活用術〜
「AI(人工知能)」と聞くと難しく感じられますが、会議運営においては「仕事が圧倒的に早いサポート役」として活用できます。プログラミング等の難しい知識は一切不要です。
本講座ではGeminiNotebookやGemini、ChatGPTを活用した手法が紹介されました。
すぐ使えるAI活用パターン
1.アンケート・意見の自動分類(所要時間:約30秒): 参加者から出た大量のテキスト意見をAIに読ませ、「6つのカテゴリーに分類して」等と指示をするだけで一瞬で整理してくれます。
(GeminiNotebook)
2.ホワイトボード・付箋の写真の文字起こし: 会議後にスマホで撮影した板書の写真をAIに送り、「テキスト化して要約して」と頼むだけで議事録のベースが完成します。
(GeminiNotebook)
3.議題・問いかけの相談相手: 「来週、地域のクリーン活動のアイデア出し会議をやります。盛り上がる『問いかけ』の案を3つ考えて!」など、日常会話のようにフランクに頼むだけで、優秀なアイデアを出してくれます。
(Gemini、ChatGPT)
【AIを使う際のポイント】
AIの出力結果を100%鵜呑みにせず、最後は人間(ファシリテーター)が「これで合っているか」を判断・確認することが大切です。また、「AIがまとめた結果ですが、みなさんズレはありませんか?」と提示すると、角を立てずに参加者から意見や指摘を引き出しやすくなるというメリットもあります。
6. まとめ
みんながファシリテーティブな場へ
会議を成功させるためのコツとして、<事前準備と設計> <ルールや時間、板書> < AIの活用> など様々なことをご紹介しましたが、たった一人の「完璧なファシリテーター」の力だけでは良い場をつくることはできません。
参加者が「うんうん」と笑顔や頷きながら話しを聞いたり、分からないときに素直に「分かりません」と質問したりすることも大きな貢献です。また板書を手伝ったり、困っている人をさりげなくサポートしたりするなどサブファシリテーター的な役割を担うこともできます。
場が良くなるのは小さなことの積み重ねです。会議の雰囲気づくりなど参加者全員がファシリテーター的な意識(ファシリテーティブ)でいることで、良い場をつくっていくことができます。
ぜひ次回の会議から出来そうなことを一つ実践してみてください。

▲中央図書館のブックフェアで紹介されたファシリテーション関連本が並びました。
ファシリテーション関連書籍リストは以下よりご覧いただけます
▶町田市立中央図書館ブックリスト(2026年度ファシリテーター特集)
