【防犯プラスON】「地域安全マップの作り方講座」(サポートオフィス主催)
ふだんの活動にプラスON 実施レポートVol 13
本事業は、町田市市民生活安全課からの委託により町田市地域活動サポートオフィスが実施している「ふだんの活動にプラスON 交通安全・防犯協働事業」の 一環で開催されています。
12 月2日(金)に町田市役所2階おうえんルームにて、「地域安全マップの作り方講座」~いつもの景色の中の「安全」と「危険」が見える!~を開催しました。講師は、小宮信夫立正大学文学部社会学科教授です。本企画は、「ふだんの活動にプラスON」事業の中で、町田市地域活動サポートオフィス主催の防犯プラスON企画として実施し、当日はスタッフを含め、12名の参加がありました。
「地域安全マップ」とは、犯罪が起こりやすい場所を風景写真を使って解説した地図です。各地の小学校の授業や自治会町内活動などで防犯意識を高める方法として取り入れられています。通常は、講義で基礎的な「景色解読力(危険予測能力)」について理解を深めた後、実際にフィールドワークをして作成します。今回は、オンラインでの講義と「Googleマップ」のストリートビュー機能を使用した「フィールドワークシミュレーション」を行いました。
▲前半の講義では、小宮教授よりスライドや映像を使ってポイントについてお話がありました
前半:講義
◆犯罪機会論について
犯罪機会論は、犯罪の発生を防ぐために、人(不審者等)に着目するのではなく、場所(犯罪が起きやすいかどうか)に着目する考え方です。
子どもの誘拐の8割は騙されて(子供自身からすすんで)連れていかれると言われています。また、安全と思われがちな学校の近くや団地など人の多い場所でも事件は起こっています。
そのため犯罪を未然に防ぐには、人が多いから大丈夫など先入観を持たず、「子どもに気軽に声をかける」ことができ、「簡単に自動車に乗せて連れ去る」ことができるような「機会/場所」を知り、回避することが有効です。
▲「犯罪機会論」は犯罪動機だけではなく、犯罪機会があってはじめて犯罪が実行されるという考え方です
◆場所を見分けるポイントは、4つ
危険な場所【 ①入りやすい / ②見えにくい 】
安全な場所【 ③入りにくい / ④見えやすい 】
具体的には、以下のような例が挙げられます。
危険な場所【①入りやすい】
「開いている場所」
道路わきの植込みと植込みの間、ガードレールの間などは、車を横づけして簡単に乗せられる。
危険な場所【②見えにくい】
「死角がある場所」
トイレ、建物や駐車場の奥など。
「死角はないが視線がない場所」
高い壁に囲まれた道、田んぼ道など見晴らしはいいが人の目がない場所
「心理的に見えにくい場所」
・落書き、不法投棄などが放置されている場所は、管理されていないサインで犯罪者が好む。反対に手入れされている花壇があると犯罪者は避ける。
・不特定多数の人が集まる駅前、ショッピングセンターなどは、子どもに近づいても違和感がなく、子どものそばまで近づけてしまう。また、人が多いゆえに「傍観者効果」がはたらき、異変を感じても対応されない可能性が高い。
安全な場所【③入りにくい/④見えやすい】
ゾーニングされた子ども向けの広場。海外では公園の周りをフェンスで囲み、遊ぶ子ども以外が入りにくい設計となっているのが一般的。外向きにベンチを配置することで一層効果を増す。
▲海外の公園は遊具エリアがフェンスで囲まれています
◆「ホットスポットパトロール」が効果的
特に重点地域を設定せずに実施する「ランダムパトロール」より犯罪が起きやすい場所=「ホットスポット」に重点を置いた「ホットスポットパトロールが効果的」。パトロールの担い手不足や高齢化が多くの地域で課題となっているなか、効率的に犯罪抑止につなげることができます。実施方法のポイントは以下の通りです。
・一度地域のホットスポットをメンバーで確認し共有する。
・パトロールを実施するときは、ホットスポットを中心に回る。
・ホットスポットでは、ゴミ拾い、ベンチに座っている人に声をかける等、積極的な行動をする。
・駐車場など犯罪者のとどまりやすい場所では、一定時間見回りをしてプレッシャーをかける
後半:フィールドワークシュミレーション
後半は、「Googleマップ」のストリートビュー機能を使用した、フィールドワークシュミレーションを実施。実際の会場となった町田市役所近くの公園や建物などを見ながら、解説をしていただくことで、講義の内容の理解が深まりました。
▲今回は町田市役所周辺エリアを画面を通して視察しました
参加者からは、「ホットスポットの考え方を理解できた」、「 防犯への意識がついた」、「多くの人が本講座を受けた方が良いと感じた」「町内会の年末パトロールでホットスポットパトロールを取り入れてみたい」などの声があがりました。
▲町田市役所市民生活安全課より「ながら防犯」についての案内がありました
景色を見て安全と危険を識別する視点=「景色解読力(危険予測能力)」は、高めていくことができます。ぜひ、こちらの内容も参考に、ご自身の地域の「安全」「危険」を見つけ、防犯へ繋げていただけたらと思います。
今回は、実際の地域安全マップの作成までには至りませんでしたが、マップ作りのワークショップや地域単位での講義も可能とのこと。ご関心がありましたら、サポートオフィスまでお問い合わせ下さい。
<ご案内>
著書『写真でわかる世界の防犯 ――遺跡・デザイン・まちづくり』(小学館)
HOME | 小宮信夫の犯罪学の部屋 (nobuokomiya.com)
小宮先生の防犯教室 あぶないとこって、どんなとこ? – YouTube
小宮先生の防犯教室 どうしてスマホはあぶないの? – YouTube
<参考>
地域安全マップの紹介記事(解説・マップの事例写真など)
・「危ない人」は無理でも「危ない場所」なら対策できるー地域安全マップで身につく防犯知識
(Newsweek 2022.9.6)
・地域安全マップ誕生から20年 でも、いまだに変だよ「子どもの防犯」
(Yahooニュース 2022.9.9)
主催:一般財団法人町田市地域活動サポートオフィス 委託元:町田市市民生活安全課
お問い合わせ:
町田市地域活動サポートオフィス
info@machida-support.or.jp
042-785-4871 (平日9:00-18:00)