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実施報告performance

実施報告 2025年07月29日

【実施報告】まちカフェ!インクルーシブ研究会vol.7「障がいと共に働く」を開催しました

7月3日、まちカフェ!オープンデー内で<まちカフェ!インクルーシブ研究会vol.7「障がいと共に働く」>を開催し、9名の方にご参加いただきました。講師は就労移行支援事業所ワン・ブリッジ町田の皆さんです。職員の方々2名、利用者の方々4名にお越しいただき、それぞれの視点でお話いただきました。以下詳細をレポートします。

 

インクルーシブ研究会vol.7 結論と考察

1 障がいを一面的にとらえず、多面的に理解することが必要

2 お互いの得意・苦手を確認しながら進められるとGOOD

3 相談しやすい環境や定期的なフィードバックが大事

考察:皆さんの働き方に関する経験や考えをお聞きする中で、誰にでも共通することが沢山あることがわかりました。お互いが尊重しあう中で働きやすい環境を作っていけるといいですね。


障がい者雇用の現状

国は、障がいの有無に関わらず誰もが能力や適性に応じた雇用の場に就き活躍ができる社会を目指し、障がい者の雇用対策を推進しています。また、法定雇用率という、企業が常時雇用している労働者のうち障がい者を雇用しなければならない一定の割合が決まっており、すべての企業に法定雇用率以上の障がい者を雇用することが義務付けられています(現在は従業員40人以上の事業所は2.5%)。

町田市「就労に関する実態調査報告書」によると、雇用しない理由や課題として、「お願いできる仕事がない」、「職場環境が整備できない」、「どのように働いてもらったらよいか分からない」、「職場内部の障がい理解」、「サポートの仕方」などがあります。このような回答を見ても、障がいのある方が活躍できる場面はたくさんあるにもかかわらず、障がいが一面的にとらえられてしまっていると感じます。<障がい理解>がもっと広まる必要がありますね。

 

トークセッション

Q1:皆さんの障がいについて詳しく教えてください。

Aさん:障がい名は適応障害とADHD(注意欠如・多動症)です。症状としては、気分の落ち込みが大きくなると周りのことが見えなくなってしまうことなどがあります。発病したのは前職のときです。食欲がなくなったり、睡眠がうまくとれなかったりという状況が長く続きました。一番ひどかったときは起き上がるのもつらかったのですが、通院してお薬を飲み、徐々に気分が上を向いてきて、復帰に向けて動いていこうかなと思うようになり就労移行支援事業所に通い始めました。

Bさん:ADHDとASD(自閉スペクトラム症)の混合型の発達障害です。マルチタスクが苦手、過集中してしまう、物事の優先度がわからないという点で困っています。前職では、クローズ(=障がいを企業には伝えずに働くこと)で働いていましたが、障がい起因で上司に怒られてしまい気分が落ち込むことが多々ありました。例えば、自分が進めないといけない仕事があるのに新しい仕事を引き受けてしまって、やらないといけないものを後回しにしてしまったり、過集中になってしまい「間違えてはいけない」と休まずに取り組んでしまうことにより疲れてミスが増えてしまったりするなどです。仕事以外では歩きながら好きなことを考え集中してしまい、気づいたときには交差点の真ん中で交通事故に遭いそうになったりしたこともあります。地域若者サポートステーション(15歳から49歳までの若者やその家族を対象に、就職に向けた支援を行う機関)で相談して、就労移行支援を紹介してもらいました。今はToDoリストを作り方を学んだり、過集中を防ぐために1時間で区切って仕事をするなど対処法を学んでいます。

Cさん:最初はうつ病を発症し、適応障害、その後気分変調症と診断されました。育った環境なども影響していて、相手の顔色を窺い自分も不安になったり落ち込んだりしてしまいます。一番ひどかった時期は、身体を動かすことができず、重力が5倍くらいに感じ、家からも出られませんでした。食事も全く食べられないもしくは過食してしまうという状況もありました。夜もあまり寝れず、明け方に気を失うように寝ているということも5年くらい続きました。何もできない日々がつらく、何かしてみようと決めて主治医に相談して精神科デイケア(通所型リハビリテーション)に通うようになりました。そこで就労移行支援を知って利用するようになりました。

Dさん:ADHDとADD(注意欠如障害)です。自分は注意欠如が強く、多動はあまりありません。自分はまだ働いたことがないのですが、エピソードとしては、保育園の頃、お店の中で走り回っていてお店の中で一番高いテレビを壊してしまったことがあります。衝動的に行動してしまうことがあり、お金をためているのに衝動的に買い物をしてしまうことがあります。金銭管理は苦手です。

 

Q2:皆さんの職歴やこれまでの経歴について教えてください。

Aさん:工場の製造ラインに入ってものづくりの仕事をしていました。障がい起因の困りごとかはわかりませんが、コロナの頃に部署異動があり、対面でのコミュニケーションが取りづらい環境で、わからないことがあっても聞けないことが続きました。自分で抱えてしまい、仕事がうまく回らなくなってしまいました。気分が落ち込んできて、食欲や睡眠の質が悪くなりました。当時、体調が悪いことは自覚していましたが、どうしたらよくなるかまでは考えられていなかったです。

Bさん:転職回数が多く、その中でも製造業が多いです。今までクローズで就労してきて、オープン就労(=障がいを企業に伝えて働くこと)はしたことがありません。就労移行支援という仕組みについて知ったのも、病院で診断を受け手帳をもらって、地域若者サポートステーションで相談したときに紹介してもらったのがきっかけです。オープンにしたほうがいろいろ配慮してもらえると思い、自分にとっても働きやすいのではないかと思って就職方法を切り替えました。

Cさん:スポーツトレーナーの専門学校を卒業し、その学校に就職しました。ハラスメントがひどく、外に出られない時期が続き、何度か復帰したりもしたのですが、休職してしまいました。その後新聞配達のアルバイトをしていたのですが、労働環境が厳しく、さらに体調を壊してしまいました。育ってきた環境は自分でも変だとは思っていましたが、高校・専門学校時代は調子がよく、副代表をやったり、筋トレも好きで学校でもスポーツをしていたり、自分が人と違うということは感じたことがありませんでした。

Dさん:福祉の大学に通っていたのですが、大学内でいじめを受け、休学・退学をしました。いじめにより、人に会いたくないと思うくらい恐怖症になってしまいました。家族には大学に行けと言われましたが、行きたくなかったのでカラオケにこもったりしていたこともありました。自立訓練(自立して日常生活を送ることができるよう、生活能力を身につける場所)に通い始め、体調や昼夜逆転を直しました。

 

Q3:今後の仕事について、どのような訓練や対処をしていますか。また、周りにサポートしてほしいことがあれば教えてください。

Aさん:これまでものづくりが楽しいと思って働いてきましたが、周りのメンバーと協力してコミュニケーションをとりながら進めるというのはどの仕事にも共通することだと思うので、コミュニケーションがうまくとりやすい環境で仕事ができればいいなと思っています。気分が落ち込む状況になったのは前職の上司とのコミュニケーションが原因だったので、苦手な人と接さないといけない状況で自分なりの対処ができるようにしていきたいと思っています。

Bさん:昨日まで一週間企業で実習をしていました。障がい者雇用は職場内にジョブコーチがいるところが良いところだと思っています。日々相談ができ、仕事の進め方、チャレンジしたいことなどを伝えられる体制がとれれば自分にとっては働きやすい環境です。実習先からのフィードバックには「正確性の持続が苦手」、「報告はできるが質問はしてこない」などと書かれていました。これから訓練をしていきたいです。

Cさん:前職の研修での指導環境が悪く、嫌な思い出になってしまっています。私は気にしてしまうことが多いので、定期的に仕事に対するフィードバックがほしいと思っています。また、不安を感じると一人で抱え込んでしまう癖があるので、自発的に助言やアドバイスを聞きに行き、教えてもらったり、ほめてもらったりして自分に自信をつけられるように取り組んでいます。

Dさん:身体を動かす系の仕事がしたいです。体力がないので、作業や時間を自己管理できるようにしたいと思っています。マニュアルを見せていただいたり、お手本として一緒にやっていただけると助かります。


後半では、まちカフェ!イベント出展のためにどのようなプロセスで利用者同士が協力して進めているのかについてもご紹介いただきました。また、2つのグループに分かれて参加者との交流・質問タイムも設けられ、どちらのグループもとても盛り上がっている様子でした。


インクルーシブ研究会の過去のバックナンバーはこちらからお読みいただけます。

vol1「車椅子等、障がいがある方とのコミュニケーションの取り方」
https://machida-support.or.jp/report/performance/inclusivevol1/

vol2 「視覚障害の方の日常を体験しよう!」
https://machida-support.or.jp/report/performance/inclusivevol2/

vol3「子どもが安心できて心地よく過ごせる場づくりのヒント」
https://machida-support.or.jp/report/performance/inclusivevol3/

vol4「障がいと共に地域で自立して暮らす」
https://machida-support.or.jp/report/openday202410vol04/

vol5「まちカフェ!インクルーシブ研究会vol5「性の多様性を知り、みんなで仲間になろう!」
https://machida-support.or.jp/report/202411_vol5/

vol6「多文化共生~町田に住む外国ルーツの方とお話しましょう!~」
https://machida-support.or.jp/report/20250604vol6/

 

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