【コラム】元行政マン、現役NPO代表&中間支援組織スタッフの小話 vol.4 ~「オンライン会議 第2弾・町内会」に挑戦!
私は図師町に住み、図師町内会に所属し、副会長をしています。今回のコラムでは、コロナ渦で実際に会えない状態の中でトライした、オンライン会議実施に漕ぎつけるまでの紆余曲折とそこからの気づきについてお話したいと思います。
図師町内会は、毎年4月に「総会」を開きますが、今年は、コロナ禍のためそれができず、総会資料を会員に配布し、議案への賛否を表決書に記入して集約する「書面決議による総会」へ切り替えました。3密の禁止、“ステイホーム”励行の中、「書面決議総会」を3~4名の役員で準備しました。その作業中も、「このままでは役員会も開けず、会の年次計画の調整もできない。どうしたものか…」と思案にくれていました。
そんな時、別の役員から、コロナ禍の先の見通しのつかない中、「オンライン会議」などを検討すべきではないか、という提案が書状で出されてきました。しかも、5月末までに回答を、とのこと。ホームページも作っていない図師町内会、それでも役員たちがメールやLINEを子や孫たちの手ほどきを受けながら使い出していることは知っていました。
サポートオフィスの他のスタッフたちの指導の下、私は「オンライン会議」に4月から参加し、その便利さを認識し、NPO法人町田演劇鑑賞会理事会の「オンライン会議化」の”実績“もありました。が、町内会の高齢な役員たちの顔を思い浮かべると、二の足を踏んでしまっていました。
しかし、この提案に背中を押され、「オンライン会議第二弾」実施に奮い立つこととなりました。会長、副会長、庶務、会計、防災会長など会の重鎮たちに連絡をとり、サポートオフィスから発信している「オンライン会議の開き方」をコピーして配り、とにかくやってみましょう!と投げかけました。
教えてくれるならやってみるか、という雰囲気になり、各々のメールアドレスをリスト化し、日時を決めて6人を集めてZoom会議をやってみることになりました。事前にできそうな役員に電話をかけ、操作を伝えてやってみたところ、何とか画面に顔が写り、話すことができました。これなら大丈夫かなと当日を迎えました。
事前にうまくいった役員が最初に画面に登場、次に40代の女性役員の音声が出ない状態で登場、次に50代の女性役員がスマホでやはり音声なしで登場。しかし、他の70代の男性役員たちは待てど暮らせど入ってきません。電話して様子を聞くと、「アカウントって何?IDは?パスワードは?」と茫然としている様子でした。
アカウントは利用者登録、IDは数字だけど会議名、パスワードは会議のドアの鍵、などと伝わり易そうなことばで話しました。それでも画面展開についていけていないようで、結局6人中3人だけの参加に終わりました。翌日、怯んではならじと近くのネット環境のあるファミレスにうまくいかなかった3人に集まってもらいました。会議に参加できた50代女性も加わって操作方法を伝授。何とか2人は参加に成功しましたが1人はなぜかできませんでした。原因はわからずじまいでしたが、その日の夜にもう一度会議を開くことになりました。
「顔が写ってない」「声が出ていない」などとお互いに指摘し合いながらも、6人中5人が感動のうちに参加。そして、入ってこられない人の原因が、子や孫による端末のセッティングの際に、メール受信対象者を限定しているらしいということがわかってきました。当人がそのことを知らないため、自分だけが入れず、寂しそうな顔をしていましたが、その後、会議アプリをインストールしてもらい、ID、パスワードを電話などで知らせることしました。
今回の一連の取り組みの中で、オンライン会議初挑戦の高齢の皆さんは、IT関係は世間から置いてきぼりにされて、本当は寂しく感じていること、70歳以上でも根気よくていねいに説明すれば、一生懸命聞いて一緒にやろうとがんばってくれるということに気が付きました。
参考までに、今回のオンライン会議導入の際に気が付いた点、良かった点をご紹介します。
- 入口となるアカウントの設定などは、一緒に手伝ってあげる方がよい
- <画面に顔を映す>、<話す声が出るようにする>などは、最初につまずくところなので、どこにあるアイコン(マーク)を押すのかを、具体的にかつ落ち着いて教えるとよい
- 説明された通りやっても、すぐに反応がでないと、関係ないアイコンを慌ててクリックしてしまい、さらに慌ててしまうケースが多発。まずは落ち着いてもらい、「何をしたらどうなったのか」を教えてもらい、励ましながらも冷静に次の一手をお伝えするとよい
これからも参加者の枠を広げていかないと、会としての動きになっていかないため、「オンライン会議」普及活動はまだまだ続きます!
著者/大谷 光雄
町田生まれ町田育ち町田市在住。1977年町田市役所に入職、最後の10年を新たな地域社会づくりの核としての地区協議会の設立に従事。その傍らで会員制のNPO法人町田演劇鑑賞会を設立、会長として35年目を迎える。平成18年より地元町内会副会長を歴任。