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コラムcolumn

コラム 2021年06月09日

【コラム】新米事務局長のつぶやきvol.6「SDGs読んでみた、考えてみた、悩んでみた」

町田市地域活動サポートオフィスでは、4月23日(金)オンラインイベント「SDGsでお互いを知ろう!つながろう!」を開催、またサポートオフィス通信vol.18では、セミナーの報告を兼ねてSDGs特集を組みました。

この過程で、まずは原点ということで SDGsが掲載されている「持続可能な開発のための 2030 アジェンダ」を読んでみました。そこからの気づきを以下ご紹介いたします。長文ですがお付き合いください!

 

世界を変革する: 持続可能な開発のための 2030 アジェンダ

 

SDGsは、2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に掲載されています。アジェンダ自体は、前文、宣言、SDGs本文、フォローアップとレビューという5つのパートで構成されているものです。タイトル、前文、宣言と順を追って読むことでそこに込められた理念が理解できるとともに強い危機感も伝わってきます。

タイトルの「我々の世界を変革する」という強いメッセージは印象的です。私たちの子ども世代も孫世代もその先も地球で暮らしていける「つづく世界」をつくるためには「我々の世界を変革する」ことが必要だとうたっているのです。

2019年7月29日は、「アース・オーバーシュート・デー」だそうです。人間の資源消費量が地球の生産できる自然資源量を超えた日です。今人間が消費している資源量は、地球約1.7個分に相当しているといわれています。0.7個ずつ未来から資源を先取りしている状態です。また、資源消費の国家間、地域間、個人間の不均衡も大きな課題です。

当初、私自身SDGsに取り組むことの「メリット」は何かということに意識が向き、また、すでに実施している取り組みに「ラベルを貼る」ということで満足していた面もありました。ただ、今の地球の状況は、「ダイエットするとおしゃれが楽しめるよ(メリット)」というレベルではなく、「生活を変えてダイエットをしないと死にますよ」というレベルであるということをこの「世界を変革する」という強い言葉から感じました。

 

課題の相互関連性とパートナーシップ

 

前文では、目標の概要を「人間」「地球」「繁栄」「平和」「パートナーシップ」にわけて説明しています。そして最後には、「目標の相互関連性及び統合された性質」という表現があります。目標は個別に存在しているのではなく、相互に関連していることが説明されているのです。つまりどれ一つとして自分に関係ない課題はなく、つながっているということです。事実、貧困(目標1)一つとっても飢餓(目標2)、健康と福祉(目標3)、教育(目標4)、ジェンダー(目標5)等々ほとんどすべての問題とつながっています。

一方で、経済と環境といった現状のままだと同時に解決するのは難しいように感じる目標もあります。だからこそ多様な人や組織の参加や協力、パートナーシップが重要であると平和と公正(目標16)、パートナーシップ(目標17)で掲げているのだと理解しました。

 

誰一人取り残さない

 

SDGsのキャッチコピーとして有名な「誰一人取り残さない」。この言葉は、「宣言」の項目にある「導入部」に書かれているものです。その中には、「最も遅れているところに第一に手を伸ばすべく努力する」と書かれています。また、続く「我々のビジョン」「目指すべき世界」では、「最も脆弱な人々のニーズが満たされる、公正で、衡平で、寛容で、開かれており、社会的に包摂的な世界」という記載もあります。

「誰一人取り残さない」社会をつくるために最も弱い立場の人のニーズが満たされることをめざし、もっとも遠いところにいる人にまずは手を伸ばすと宣言しているのです。

これを読んだとき、サポートオフィスが町田市社会福祉協議会とともに実施させていただいた「みんなでコロナを乗り越えるぞ基金@町田」の活動報告のことを思い出しました。基金の助成を受けて実施された取り組みは、声をあげにくい人の気づかれにくい困りごとに目を向けて、寄り添い、支援を届け、ともに行動する取り組みでした。こうした地域の草の根の市民活動こそが、SDGs実践の最前線だと感じたのです。

 

最後に

 

「地域の市民活動こそがSDGs実践の最前線」ですが、市民活動だけにお任せすればよいわけではありません。仕組みとして社会に広げる政府や行政そして企業の取り組みも不可欠であることはいうまでもありません。また、そうした活動を支える寄付やボランティアという個人の取り組みも大切です。

「世界を変革する」という壮大なタイトルを見ると自分との距離を感じてしまいます。しかし「誰一人取り残さない」「公正で包摂的な社会」を職場、地域、家庭など自分の所属する場所で一人ひとりが実践していくことが大事なのだと思います(自戒もこめて)

小さな声をどのように拾い社会に広げるか、さらにいえばそもそも声を出しやすい社会にしていくことが<誰一人取り残さない>の実現には不可欠ではなでしょうか。

 

 

<参考サイト>

■ 外務省「SDGsページ」

アジェンダの全文(英語、日本語)が掲載されています。

■ 国連「2030アジェンダ」

SDGs報告2020」というページで達成状況をビジュアルで見ることができます。コロナ禍で課題がさらに深刻化している状況も見て取れます。

■ WWFジャパンサイト内記事「あなたの街の暮らしは地球何個分?」

環境指標である「エコロジカル・フットプリント」をもとに都道府県別エコロジカル・フットプリント分析が紹介されています。1位の東京都は、地球5.24個分。

<書籍>

『SDGs―危機の時代の羅針盤』 (岩波新書) 南博、稲場雅紀著

首席交渉官としてSDGs交渉を担当した南博氏と市民社会の代表としてSDGs策定にかかわった稲場雅紀氏の共著。読みやすい文章で、SDGsの全体像、策定までのプロセス、日本での具体的な取り組みを知ることができます。

 

『SDGs(持続可能な開発目標)』 (中公新書) 蟹江憲史  (著)

日本政府SDGs推進本部円卓会議委員を務めた、日本のSDGs第一人者による SDGsのすべてを解説する一冊。

 


著者/喜田亮子(町田市地域活動サポートオフィス 事務局長)

大和市在住。桜美林高校、桜美林大学出身。20年間民間企業の助成財団で全国の地域活動への助成等を担当。中学3年の娘、小学校6年生の息子の母です。

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