特定非営利活動法人(NPO法人)に関する調査報告
サポートオフィスでは、昨年度町田市内特定非営利活動法人に対する調査を実施しました。「まちの困りごとにみんなが楽しく取り組み、自分らしくいられる『まちだ』づくり」の実現に向けては、市民に社会参加の機会を提供する特定非営利活動法人(NPO法人)をはじめとする市民活動の役割は重要と考えています。調査では、町田市内のNPO法人をはじめとする市民活動の活性化に向けて、NPO法人の現状と課題を整理し、必要な支援策を明らかにすることを目的として実施しました。
調査内容と結果の概要について以下の通り報告いたします。
詳しい調査結果は、本ページ末に報告書を掲載しております。
<調査の方法>
1. 事業報告書の調査
・本調査で対象としているのは、特定非営利活動促進法(NPO法人)で法人格をとって活動してい る町田市内のNPO189団体(調査時)の「東京都生活文化局NPO法人ポータルサイトNPO法人検索システム」に掲載されている事業報告書に基づき分析しました。
・事業年度は、団体ごとに違うので直近の事業年度のものを分析しています。
2. アンケート調査
・アンケートは、NPO法人とまちカフェ!に出展している市民活動団体のうち住所のわかる団体に送付し、196団体に発送し、85団体から返送がありました。
・事業報告書ではわからない、人員の配置、財源の種類、運営の実態について調査しました。
・参考情報として内閣府「特定非営利活動法人に関する実態調査」平成29年度版に比較可能データがある設問については、そちらを掲載しました。
3. 調査期間
2020年1月8日~2月12日
<調査から見えた町田市NPO法人の姿>
1. 活動分野について
・特定非営利活動法人20分野の分類では、複数選択可で実態が見えにくいので、独自に設定したテーマで分類した。特に法人数の多い福祉分野は、よりわかりやすくするために「障がい者福祉」、「高齢者福祉」、「その他医療福祉」の3つに分けた。結果、法人全体で一番多い分野が「障がい者福祉」20%、次いで「高齢者福祉」14%という結果となった。「その他医療福祉」10%とあわせると44%が福祉分野という結果になった。
2. NPO法人の運営メンバー・スタッフの特徴について
・運営メンバー、代表者ともに最も多い年代は70代。設立以来代表者が変わっていないNPO法人34%となっている。世代交代は一つの課題といえる。
・障がい者福祉、高齢者福祉の2分野とそれ以外の分野では有給職員がいる法人数に開きがあり、比較的規模の大きく有給職員を多く抱える障がい者福祉、高齢者福祉の2分野とそれ以外の分野の小規模のボランティアを中心としたNPO法人にわかれる。
・直近の事業年度で100万円以上の寄付があったと回答した4団体は、動物愛護、国際交流、観光、高齢者福祉の各1団体であった。
3. ボランティアと寄付について
・ボランティアや寄付は、市民の参加や協力によって社会課題にとりくむNPOにとって重要な経営資源である。直近の事業年度における個人寄付が0という団体が45%、ボランティアなしという団体が22%は経営課題の一つである。また、同時にNPOそのものへの認知が十分ではない、必要な人に情報が届く仕組みがないといった社会環境の課題もあると考えられる。
4. 情報発信について
・周知にSNSを活用している団体が12%、一方チラシ26%、口コミ21%といったアナログな手法を使っている団体が半数近い。一方、今後SNSを利用したいという回答が27%、ホームページを開設したいという回答が24%となっている。新型コロナウィルス感染拡大の影響もありオンラインによる情報発信や活動の活性化はニーズは増加していることが予想される。今後支援が必要な領域の一つである。
5. 協働について
・行政に対しては、場所の提供、広報(市民への啓発)への期待、企業には資金提供に期待するという回答が多くなっている。
・今後協働を希望する組織は、行政が23%と一番多く、次いで他の市民活動団体・NPO法人が17%となっている。
6. 活動する上で、必要と感じている支援について
・「広報・情報発信」が一番多く、次いで「事業計画・事業運営・組織マネジメント」、「ビジョン・ミッション・バリューの策定・見直し」と続く
調査を通じて考える町田市地域活動サポートオフィスとして取り組むべき支援について
1.各団体の経営サポート
高齢化、世代交代といった次のステージに向けた課題を抱える団体が多く、またボランティア中心の小規模団体が多い。小規模団体であってもビジョン実現に向けて確かな歩みを進めるための総合的なサポートが必要と考える。具体的には、
・中長期的視点に立って団体のビジョンやミッション、事業計画を考えるための支援。
・計画策定や申請書作成といった単発のサポートではなく、計画から実施段階まで連続した伴走サポート。
・小規模団体では、団体内での議論が限定される。代表や中心メンバーに対する定期的なメンタリング。
2. 情報発信・情報収集サポート
情報発信だけでなく情報収集の点でも団体、社会環境に課題がある。各団体の広報・情報発信に対する支援とともに寄付・ボランティア・各種支援情報などサポートオフィスによる情報収集発信、仲介。
3. 人や組織をマッチングサポート
・各団体のビジョン達成に向けた協働や資源のマッチングのための仕組みの構築。
・世代交代や組織基盤の強化に向けて広く市民が団体を知る場や仕組みの提供。
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