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実施報告performance

実施報告 2025年10月20日

【開催レポート】コーディネーター研究会特別セミナー「地域づくりニューリーダー論 ~だれもが地域づくりの仲間となるために」を開催しました

10月5日(日)、町田市民ホール第一会議室にて、コーディネーター研究会特別セミナー「地域づくりニューリーダー論 ~だれもが地域づくりの仲間となるために」を開催しました。当日は37名の方にご参加いただきました。

講師は、長年にわたりNPOの支援やまちづくりのコーディネーターを務められている石井大一郎さん(宇都宮大学コミュニティデザイン学科教授)です。石井さんは、もともと建築の専門家としてキャリアをスタート。その後、神奈川・横浜を拠点に15年以上にわたりNPO支援や中間支援の現場で活躍されてきました。現在は栃木を拠点に、自治会支援や若者と地域をつなぐプロジェクトなど、幅広いコーディネーションにも取り組まれています。講演では、平田オリザさんの言葉を引用しつつ「地域づくりは“分かり合う”ことを目的にしてはいけない。分かり合えない人たちが、どうやって一緒にやっていくか──そこからがスタートです」と語られ、人と人との“ズレ”を受け止め、その違いを対話の出発点とする姿勢の大切さを強調されました。

ここからは、第一部の講演の中のトピックと紹介いただワークショップの事例、そして第二部で行ったトークタイムの様子をご紹介します。

 

【第一部】石井さんの講演


■地域づくりのコーディネーションで大事にしている3つのこと
~石井さんが大切にしている地域づくりの3つの視点


1:地域づくりは課題解決ではなく主体形成(自分事にする)
地域での話し合いの際は、課題解決をゴールにするのではなく、「一緒に活動をしてくれる担い手が1人増えた」などを成果に、スモールステップ&クイックスタートで活動の一歩を踏み出してみましょう。“完璧な合意よりもまず実践”が大切で、アレコレ詰め込めすぎないのがポイントです。

 

2:楽しい。ワクワクする!?
人は複数の「動機」があって初めて動き出します。これから行うことの中に、参加する人にとっての「動機」が入っているかを考えることが大切です。年齢層や属性によって「動機」が異なるので、丁寧にくみ取っていけるといいですね。

若年層は「⾃⼰成⻑と技術習得・発揮」と「レクレーション」の動機が強い「⾃分探し」もやや強く、 ⾼年齢層は「利他⼼」「理念の実現」「社会適応」の動機が強いという研究結果もご紹介いただきました。 (桜井政成「複数動機アプローチによるボランティア参加動機構造の分析」 ノンプロフィット・レビュー、2002 年 2 巻 2 号 )。また、石井ほかの研究では、高校生の「グループ動機」(友だちと取り組みたい)という動機が大切であることを紹介いただきました。

 

3.5%帰納法を極める!
帰納法※1は、思考に道すじをつけたり、発見した内容の説得力を増したりと「一般化」することには長けているけど、そこからは新しいチャンスやアイディアは生まれません。これからのまちづくりを担う場面で必要なのは「本当にそうかな?」と一般論や前例にひそむ「不確かな5%」を突破口に、新しい仮説を立てていくこと。だから地域でコーディネーター役を担う人は、これまでの前例にとらわれず「不確かさ」はチャンスだと捉えてほしいと思います。

※1 帰納法とは、いくつかの出来事から共通点を見出して仮説を立て一般的な法則や規則性をみつける思考法。

 

 


講演会で紹介された主なワークと手法


①ほめほめワーク(ギフトワーク)
参加団体の活動紹介後、「その活動の良いところ」を称えあうワーク。活動内容を共有するだけではなく、互いの良いところを可視化することで、活動を進める上でのモチベーションを受け取り、自分の活動の意味を再確認することもできる。

手順:
1.1団体あたり約2分で活動内容を発表する
2.発表を聞いた人は1団体あたり1分でその団体の素敵なところをポストイットに書く
3.団体ごとA3用紙に、2のポストイットを貼り贈る

 

② 誰もが地域のことを話したくなる「漢字一文字ワーク」
さまざまな世代が集まる会議などで、地域づくりに必要なことや価値観などを平等に共有することを目的としたワーク。最後に模造紙に出てきた漢字を貼ることで、参加者の想いを可視化するのも面白い。

手順:
1.「これからの地域づくりで大切だと思うこと」を1つ挙げてもらう
2.1で挙げた内容を体現する漢字一文字を考える
3.ポストイットに漢字一文字を書いて、グループ内で理由と共に共有する
4.会議の場から出る際に、壁などに貼られた模造紙にポストイットを貼って帰ってもらう

当日はこのワークを講演会のアイスブレイクとして行いました。「人」「柔」「近」「開」などの漢字が挙げられ、一瞬で参加者の皆さんが打ち解け合う時間になりました。

 


 

【第二部|おとなり同士でトークタイム】
講演終了後、隣り合った方同士でのテーマトークを実施しました。
テーマは、サポートオフィスが主催している「コーディネーター研究会」※2でも恒例となった質問<成果や評価にしている指標/大切にしている価値観/つながることが難しい人とつながる方法>から1つ選びました。

 

 

それぞれの活動の工夫やご経験が語られ、時間が足りないほど盛り上がったトークタイム。

 

 

トークタイムで出てきた皆さんの意見対し、石井さんからアドバイスやエールが送られました。

石井さんの講演やワークショップを通じて、だれもが地域づくりの仲間となるためのヒントや地域で多様な方や組織をつなぎ合わせるコーディネーターに必要な視点を体感できる時間となりました。「地域には、年齢も立場も異なる多様な人がいます。違いを受け止め、ゆるやかに協力し合う“場”を整えるのが、これからのリーダーです」との言葉に、多くの参加者が熱心にメモを取りながら耳を傾けていらっしゃいました。

 

【参加者からの感想】
・スモールスタート&クイックスタートの話しに勇気づけられました。まずはプロトタイプとなる一歩を踏み出してみようと思います。
・全く未知の領域の話でしたが、大変刺激的でした。横のつながりを今後も作りたいと思いました。
・コーディネーターの研究が進み、職業的価値が高まるといいなと思います。各現場を支えるみなさんのことばひとつひとつがステキでした。

 

※2 コーディネーター研究会とは、サポートオフィスでは、まちだの「コーディネーター」に着目し、スキルや心がまえなどの専門性について、毎回数名のゲストにインタビュー形式でお話を聞くトークセッションイベントのこと。次回は年明けを予定しておりますので、どうぞお楽しみに!

▼これまでのまちだのコーディネーター研究会の開催レポートはこちら 
第1回目
https://machida-support.or.jp/report/performance/coordinator_vol1/

第2回目
https://machida-support.or.jp/report/performance/coordinator_vol2/

第3回目
https://machida-support.or.jp/report/performance/coordinator_vol3/

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