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実施報告performance

実施報告 2025年09月22日

【実施報告】第3回まちだのコーディネーター研究会を開催しました

9月11日、第3回まちだのコーディネーター研究会を開催し、対面3名・オンライン7名の計10名の方々にご参加いただきました。

学校、福祉、地域、市民活動と様々な場面で名称に「コーディネーター」と付く職業や、職業としてではなくても地域活動の様々な場面で「コーディネーター」的な役割を担う方も多くいらっしゃいます。本研究会では毎回ゲストにまちだのコーディネーターに必要な「専門性」をインタビューし言語化すること、そしてコーディネーター同士の情報交換の場となることを目的として開催しています。

インタビュー項目は、6月に開催した第0回コーディネーター研究会の参加者の方々と共に考えた質問項目です。

今回のゲストは、下記のお二人でした。

<今回のゲスト>

・熊坂有美さん(子ども食堂「すまいるキッチン」運営メンバー、町田市民生委員児童委員・地元 原町田で地域をつなぐコーディネーター)
・高木千賀子さん(寺子屋ごはん代表・地域で子どもとシニアをつなぐコーディネーター)


以下、詳細なインタビュー内容を公開します。


<自己紹介>

熊坂さん 町田第一地区の民生児童委員を20年務め、子ども食堂「すまいるキッチン」の運営や町田演劇鑑賞会の副会長を務めています。民生児童委員として地域で様々な人とつながりながら活動していることが、自身の活動の基盤となっています。

高木さん 地域の多世代交流の場として、ものづくりと子ども食堂の両輪で活動している「寺子屋ごはん」の代表をしています。コーディネーターとしての原点は、息子の耳の障がいをきっかけに、同じ障がいを持つ方やその家族の交流会を13年前に主催したことにあります。

 

司会、登壇者2名がならんで座っています。

右から高木さん、熊坂さん、サポートオフィス橋本。


<インタビュー内容>

Q1. ご自身のコーディネートスタイルについて、「理論派・経験派・感覚派」の割合で表すと、どのようになりますか?

高木さん 感覚10:理論0:経験10」です。割合でいえば、感覚と経験は50:50です。

熊坂さん 奇しくも同じです。理論は0で、感覚と経験が50:50ですね。経験を積んだ後、無理やり理論化している感じです。

…ちなみに感覚をどう磨いていますか?

高木さん 経験を積んで、そこから得た感覚です。

熊坂さん 経験に基づく感覚も大事ですが、もともと持っている感覚も重要だと思っています。インスピレーションや感性を大切にしていて、それがうまくいくこともあれば、失敗することもあります。

高木さん 「これが必要だ!」「やらなきゃ!」という強い内発的動機も大きいですね。

Q2. コーディネーターの役割を後輩や仲間に伝えるとしたら、どう伝えますか?

高木さん 常にアンテナを張って、関わる人の想いをしっかり聞き、胸に秘めた想いを覚えておくことが大切だと思います。

熊坂さん 同じく「話を聞く」ことが重要だと思います。それに加えて、相手に先入観を持たず、その人が持っている特性や特技を活かしていく「適材適所」が大事です。そうすることで、さまざまな活動がスムーズに回っていきます。

…ちなみに地域活動を始める前から、そういった意識を持っていましたか?

高木さん 子育ての経験が影響しているかもしれません。

熊坂さん 社会に出てからいろんな仕事を経験し、その中でさまざまな人と関わってきたことが影響していると思います。若い頃、店長として働き、次に違う仕事をしたり、在宅でものづくりをしたりしながら、色んな人との関わり方を学びました。それが今の活動に活きているのかもしれません。

高木さん 私の場合は、仕事では全くそんなことを意識していなかったので、地域活動がきっかけで考えるようになった部分が大きいですね。子育ての経験もいい訓練になりました。

Q3. これまでにコーディネートの過程で直面した困難や課題はどのようなものでしたか?また、それをどのように乗り越えましたか?

熊坂さん 困難に直面してもあまり「困った」とは感じたことはありません。何かうまくいかない場合は、別の方法を考えます。年齢を重ねて、「次の手は必ずある」と思えるようになりました。口癖は「命は取られない」です(笑)すべてが成功するわけではなくても、50%うまくいけば良いと思っています。でも、「小心者」や「心配性」であることも大事だと思います。転ばぬ先の杖のように動く人がチームにいると助かります。誰と組むかが大事ですね。

高木さん 私は自分では解決できないと思うので、すぐに周りに相談します。メンバーの得意分野を見極めて、その都度「この問題はあの人、この問題は別の人」と分けて相談しています。サポーターは寺子屋ごはんのサポーターであり、私のサポーターでもあるんです(笑)。私に解決力はないので。

Q4. コーディネーターの成果を具体的に感じたエピソードと、それを評価する指標について教えてください。

高木さん 息子の耳の障がいの交流会では、その後も参加者同士がつながり、手術時に情報交換ができたりしたことに成果を感じました。寺子屋ごはんでは、サポーター同士や子どもたちが仲良くなっている様子を見ると、活動の成果を感じます。指標としては「つながり」です。寺子屋ごはんでは、サポーター同士がクラブをつくり、登山や木工、歌などの活動をしています。事務局も「事務クラブ」というクラブ活動にしているんです。月2回の活動だけだとサポーター同士ではゆっくり話せないのですが、クラブ活動で相談できたりするので大事な時間になっています。活動の外でも交流が生まれているのが成果です。

熊坂さん すまいるキッチンの代表との出会いがあり、それをきっかけに子ども食堂の活動が立ち上がって広がっていったことが成果です。また、演劇鑑賞会では、働いている世代を支援したいので託児サービスをしようと考えて、元保育士のおばあちゃんとかにお声がけしてスタートしました。このように、活動を広げることができたことは成果だと思います。指標としては「人と人がどれくらいリアルにつながっているか」だと思います。やはり人間同士リアルな関係性でできることが沢山ありますよね。

Q5. コーディネーターとして活動する中で、最も大切にしている価値観や判断軸は何ですか?

高木さん 自分の身の丈にあうかどうかです。自分にできるかどうかをよく考え、無理をしてはいけないと思っています。もし無理だと思ったら、その時はあきらめて、できるようになるまで時を待ちます。

熊坂さん 最も大事にしているのは、自分が興味を持てるかどうか、好きかどうかです。嫌だなと思うことは、この年齢だからやらないようにしています。自分が前向きに取り組めることは、積極的に挑戦するようにしています。

Q6. 地域資源を開拓する際、どのようにアプローチしていますか?

高木さん 日頃からつながりを大切にし、間口を広げておきます。クラブ活動も交流会もサポーターだけでなく、地域の人も参加できるようにしているのでそこからサポーターになってくれる人が出たりと、つながりが生まれています。

熊坂さん 地域のいろんな場には積極的に参加し、つながりを作ります。アンテナを張っておくことで、必要な時に声をかけることができています。

…資源という点でいうと活動場所はどうやって見つけましたか?

高木さん 私は突撃しました。最初は「陽だまりカフェ」で活動していましたが、人数が増えてきたタイミングで、現在の活動場所「エヴァグリーン・チャペル」にいきなり訪問しました。その結果、教会側も何か子ども食堂のようなことをやりたいと思っていたタイミングで、快く場所を提供してもらうことができました。

熊坂さん 現在の代表が、教会で子ども食堂をやりたいと、町田市社会福祉協議会に相談して、社会福祉協議会の方が私につないでくれたことがきっかけです。以前から子ども食堂をやりたいという気持ちがありましたが、良い場所がなかったので、まさに「天からの声」でした。

Q7.つながることが難しい方とどうつながりをつくっていますか?

高木さん 難しい人とは無理につながろうとはしません。今はまだそのタイミングじゃないんだなと考えて、無理をしないようにしています。

熊坂さん 民生委員をやっていると、行政や専門機関につなぐことが主な役割です。気になる家庭には、まず心を開いてもらい、適切な機関につなげることを心掛けています。その際は、相手の立場を理解し、嫌がられるようなアプローチは避けます。相手のペースを待つ姿勢を大事にしています。

Q8.コーディネートの活動において、参考になった書籍や映画、印象に残っている研修などがあれば教えてください。

高木さん 私は縄文時代や江戸時代、さらには世界各国の民族のコミュニティ形成について関心があります。古典や歴史に触れ、そこから学ぶことはとても多いです。縄文時代はなんであんなに長く続いたんだろうとか、なんで支え合うコミュニティだったんだろうとか、今と何が違って、今は何が足りないんだろうということを考えています。

熊坂さん 特にこれといった本や映画はありませんが、学生時代から芝居が好きで、年間を通じて数多くの舞台や映画を観ています。そうした経験が少しずつ積み重なり、今の活動に活きていると感じています。

 


<参加者から当日寄せられた質問>

Q 会った人のことを自分の中の引き出しにストックして必要なタイミングでコーディネートするというのは、経験が長くなるほど難しくなってきます。お二人は、どうやってタイミングよくコーディネートをしているのでしょうか?

高木さん 私の場合、引き出しがないので常にカオス状態です(笑)。空間にいろんな人や情報が浮かんでいて、必要なときにパッと手を伸ばすような感覚で、思いついたことを即座に実行します。最近は瞬発力が少し落ちてきましたが、あっ!て思い出したらすぐ連絡を取るようにしています。

熊坂さん 私は木に色々な実がなっているイメージです。あそこにあの実がある!と思って、それを活かす感じですね。時には「腐ってた!」ということもありますが(笑)。自分の引き出しにしっかりとストックしているわけではなく、タイミングで拾い上げる感じです。

Q 苦手なことはありますか? それをどう克服していますか?

熊坂さん 20代の頃、先輩に「自分の弱点を知りなさい」と言われたことが心に残っています。年齢を重ねると、自分ひとりで全てをすることは難しくなってきます。だから、補ってくれる人と一緒にやっていくスタンスで、今は無理をせずにやるべきことを選んでいます。重要なのは、陰ひなたなく自分に嘘をつかずに行動することです。

高木さん 私は人前で話すのが苦手です。でも、経験を積んできた中で少しずつ克服できました。代表として前に立たざるを得ない状況も多かったので、場数をこなすことで、少しずつ自信を持てるようになりました。

Q 地域に交流の場がないという課題がよく挙げられますが、場についてどう考えていますか?

熊坂さん 私は「わざわざ場を作らなくてもいいのでは?」と思っています。

高木さん 同感です。日常でつながることがあればわざわざ場をつくる必要ないのではないか?と思います。でもじゃあなんで場をつくっているんだってことですが、本来誰もが日常的にあたり前につながれる地域にしていきたいので、それを広げていくために寺子屋ごはんをやっています。いつでも孤立しづらい地域になると、場という言葉自体がなくなるのではないかと思います。

熊坂さん 顔の見える関係をたくさん持っていればその人が多くの「場」を持っていることになると思います。大切なのは、単発の活動ではなく、継続的に関わりを持つことです。

高木さん 本当にそうです。回数を重ねることの重要性を感じます。


研究会の最後には、ゲストのお二人に「あなたが「あこがれる/めざすコーディネーター像は?」とお聞きしました。お二人の答えは以下の通りです。


高木さん 「芯はあるけれど、やわらかい人」

いつもお世話になっている安部文博さん(町田市南第3高齢者支援センター)と北村友宏さん(写真家・フォトグラファー「町田のカメラマン」)です。お二人とも、話を最後までしっかり聞ききってくれて、方向が違っていたらやんわり方向転換を促してくれます。そして二人とも、つなぐときは丁寧につないでくれる方々です。

熊坂さん 「ナチュラルにしなやかに」
時々は毒も吐きますが、それもナチュラルな部分かなと思います。自分らしさを大切にしたいですね。

 


10月5日(日)コーディネーター研究会特別セミナー「地域づくりニューリーダー ~だれもが地域づくりの仲間となるために」を開催します。

詳細・お申込みはこちらからご確認ください。
https://machida-support.or.jp/event/seinar1005/


▼これまでのまちだのコーディネーター研究会の開催レポートはこちら 

第1回 https://machida-support.or.jp/report/performance/coordinator_vol1/

第2回 https://machida-support.or.jp/report/performance/coordinator_vol2/

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