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実施報告performance

実施報告 2025年07月24日

【実施報告】第1回まちだのコーディネーター研究会を開催しました

7月17日、第1回まちだのコーディネーター研究会を開催し、対面6名・オンライン10名の計16名の方々にご参加いただきました。

学校、福祉、地域、市民活動と様々な場面で名称に「コーディネーター」と付く職業や、職業としてではなくても地域活動の様々な場面で「コーディネーター」的な役割を担う方も多くいらっしゃいます。本研究会では毎回ゲストにまちだのコーディネーターに必要な「専門性」をインタビューし言語化すること、そしてコーディネーター同士の情報交換の場となることを目的として開催しています。

ゲストにインタビュー形式でお話をお聞きするコーディネーター研究会、今回インタビューをした項目は、6月に開催した第0回コーディネーター研究会の参加者の方々と共に考えた質問項目です。

今回のゲストは、下記のお二人でした。

<今回のゲスト>
・安達聡子さん(陽だまりカフェオーナー・地域の多世代をつなぐコーディネーター)
・江藤佑さん(桜美林大学LA学群/サービスラーニングセンター教員・学生と地域をつなぐコーディネーター)

 

配信はサポートオフィスの事務所で行いました。右から、安達聡子さん、江藤佑さん、サポートオフィス喜田。


以下、詳細なインタビュー内容を公開します。


<インタビュー内容>
Q1.ご自身のコーディネートスタイルについて、「理論派・経験派・感覚派」の割合で表すと、どのようになりますか?

江藤さん:
理論25%:経験25%:感覚50%」です。大事なのは、理論的な知識や経験に基づいた感覚だと思います。私は心理学をバックボーンにしているので理論的な知識も大切にしていますが、最終的には現場での感覚を最も重視しています

安達さん:
私は「理論20%:経験30%:感覚50%」です。現場の感覚も大事だと思いますが、私は理論的に物事を分析するのが得意で、コーディネーターとして問題点を分析して、その原因や背景を考えることが多いです。

Q2.コーディネーターの役割を後輩に伝えるとしたらどう伝えますか?

安達さん:
私は、コーディネーターは「人と人を結びつける役割」だと伝えます。人と企業、団体、人と場所、人とアイディアを結びつけることがコーディネーターの主な役割だと思います。

江藤さん:
安達さんがおっしゃることに加えて、私はコーディネーターには「熱意」も必要だと考えています。

アメリカを対象とした研究では、コーディネーターに必要な要素のうちの1つに「熱意」が挙げられています。合理的な国として知られるアメリカにおいて抽象的な「熱意」という観点には正直違和感を覚えました。ただよくよく考えると、物事を進めるうえでコーディネータ自身に熱や納得感がないと大概うまくいかないなと思うので、熱意は大切だと考えています。

安達さん:
その通りだと思います。さらに言うと、相手の熱意をいかに伝えてつなぐかということや相手のモチベーションを下げない言い方をできるかどうかもポイントですね。

Q3.これまでにコーディネートの過程で直面した困難や課題はどのようなものでしたか?また、それをどのように乗り越えましたか?

江藤さん:
正直あまりありません。納得して自分ごととしてコーディネートするようにしているので、トラブルが起きたとしても建設的に善後策でなんとかすることを心がけています。

安達さん:
地域で頼りにしていた核となっていた方が亡くなってしまったときなどは、辛いしどうしようという気持ちになりますね。また、地域の方々と主催者との間で乖離が起きてしまっているときはコーディネートする側としてはハラハラした気持ちになります。ですが焦ってもしょうがないので、「寝かせよう・時期を待とう」と切り替えるようにしています。

江藤さん:
ある程度は切り替えは大切ですよね。「それはそれ」と考える、次回に活かす、ということで自分の気持ちを落ち着かせるのも時には必要だと思います。

Q4.コーディネーターの成果を具体的に手ごたえを感じたエピソードとあわせて教えてください。また、成果を評価するとしたら、どのような指標が適していると考えますか?

江藤さん:
成果はあまり重要視していません。プロセスにこそ価値があると思っています。プロセスの中で、関わる人たちが何か1つでも得るものがあるようにということは意識しています。それは笑顔だったり、コミュニティの活性化だったり、そういう内容も含まれると思います。

個人的に学生と関わる中で指標にしているのは、フェードアウトのあり/なしです。結果はどうであれ、最後まで走りきる経験をできるかどうかということはとても大切なことだと思っています。フェードアウトしてしまうと、その人自身が傷ついたり嫌な思い出になってしまい、そこから持ち直すことが中々難しくなってしまいますからね。そのために、モチベーションを保つ声かけ、振り返りの場づくりなどは心がけています。

評価軸を決めるときには、質と量のバランスを見ていく必要があると思います。この場合の質というのは、やはりプロセスの中にあります。コーディネートというのは、いかにそのプロセスを設計(準備)できるか、そして全体の動きを見ながらいかにアレンジ(調整)できるかというのがポイントです。行政や企業の方は数(ボリューム)を指標にされることがほとんどですが、ぜひ質も見ていただきたいと思います。

安達さん:
私の中で指標にしているのは、満足度がいかに期待を上回っているかということです。4月に成瀬台で、「軒先からこんにちはin成瀬台」を開催しました。これは阿佐ヶ谷で始まった取り組みで、それぞれの自宅や商店の軒先を使い、フリーマーケットやゲームなどの出店を通して地域の方々がやりたいことやり、地域での挨拶を増やそうという目標をもって行ったイベントです。実際に協働がとてもうまくいき、多世代交流が生まれた事例になりました。

そのあとの地域が本当に変わったなと思います。地域の方々が知り合い、関係性が生まれ、それが深まり、ムーブメントになっていきました。振り返りの場でも、そのあとでも、私も次は出たい!関わりたい!という声が次々と聞こえてきます。次回は10月に開催することになりました。

Q5.コーディネーターとして活動するうえで、最も大切にしている価値観や判断軸は何ですか?

江藤さん:
フェアネス(公正)です。私は何かを行うときは、win-win-win-win」の4つのwinを大切にしています。1つ目のwinは学生、2つ目は受け入れ先の団体などを指します。3つ目は社会にとっていいことかどうか。4つ目はコーディネーター(自分)です。私はこの話をすると、八方美人と言われますが、八方美人上等、みんなにとって良い場を作っていくぞという気持ちでやっています。

安達さん:
江藤さんとまるっきり一緒です。地域で何かを起こすと大変なこともありますが、「大変だったけど楽しかったね」という気持ちを共有することを意識しています。

Q6.地域資源を開拓する際に、どのようにアプローチをしていますか?

江藤さん:
ステークホルダー(関係者)に相談するようにしています。ですので、やはりネットワークは大切ですね。地域のキーパーソンやサポートオフィスのような地域の情報が集まる中間支援組織にまずは話を聞き、自分の中で腹落ちしてから会いに行くようにしています。

自分は普段から地域で「もっと気軽に声をかけあえられるといいのに」と思っています。「このイベントに学生のボランティアに来てほしいんだけど」というように、どんな内容でもいつでも気軽にご連絡いただきたいです。そのうえで難しいことなどは正直にお伝えしますし、声をかけあうことのハードルが下がればいいなといつも思っています。

安達さん:
自治会を長く支えてきた方や1つの活動を長くやってきた団体など、地域の中心人物にお話を伺うようにしています。一見関係ないと思えることも後々つながったりするし、どんな団体や活動があるかを知ることは地域性の把握にもつながります。一方、自分がいくら行っても取り合ってもらえない相手もいます。そのときには、その方と良好な関係の地域の方やコーディネーターからつないでもらうようにしています。

Q7.つながることが難しい方とどうつながりをつくっていますか?

江藤さん:
いろんな学生につながってほしいと思う一方で、無理に掘り起こす必要はないと思っています。人それぞれタイミングも違いますしね。学生たちのアンテナに引っかかるような機会を多く作ることは大切だと思っています。そのために受け入れ先の方々にご理解いただく努力も欠かせません。

安達さん:
陽だまりカフェの経験から、居場所は待っていても誰もこないので、多様なコンテンツをいかに用意できるかが大切だと思っています。「これなら参加してもいいな」と思っていただける中身のバリエーションを増やしていく必要があると思います。

あとは先ほどの質問ともつながりますが、違う人を介して誘ってもらうというのも効果的だと思います。そして顔を見せてくれたら全力で歓迎するようにしています。

Q8.コーディネートの活動において、参考になった書籍や映画、印象に残っている研修などがあれば教えてください。

江藤さん:
うーん・・・生きていく中でのすべての情報が自分を構成していると思っているので、皆さんが参考となるような書物は特にありません(笑)

コーディネーターは他流試合の経験を積むことが一番だと思っています。

安達さん:
私はいつも言っていますが、山崎亮さんの『コミュニティデザイン―人がつながるしくみをつくる』です。初めて読んだとき、私がやりたかったことはこういうことだ!これならいろんな地域でマネができるかも!と強く感じました。成瀬台でこうして活動を続けているもの、地域への愛着というより、コミュニティデザインの実践自体が楽しいからです。

 


<参加者から当日寄せられた質問>
Q1.活動情報のないところではどうやってつながっていけばいいでしょうか?

安達さん:
地域包括支援センター(町田では高齢者支援センター)では地域資源マップというものを作っていますのでぜひ問い合わせてみてください。また、行政や社会福祉協議会につないでもらうという手もあると思います。情報を公開している団体はつながりを求めているということだと思うので、どんどん連絡してみることをおすすめします。

Q2.質問というよりお悩みです。コーディネーターになりたての頃は、感覚で楽しんでいたことが、経験を積むうちに予測できるようになり、楽しめなくなってきている気がしています。先を読んで答えを導こうとする自分にも、少し嫌気がさしています。

江藤さん:
なんだか疲れていませんか?私も自分自身が疲れていると同様な思考になることが多いので、ご質問にとても共感します。ありきたりな回答になりますが、ぜひご自分の時間を無理にでも作って、休息を取っていただくことをお勧めします。また、どんなに慣れてきても想定外のことが起きないということはないと思います。経験でもカバーしきれないイレギュラーが楽しめるといいですよね。

安達さん:
慣れてくること自体は悪いことではないように思いました。どんなにこちらが導いているとしても、最終的に判断したり、解決したりするのは本人です。なるようにしかならないので、割り切ることも大事だと思います。

Q3.自治会の加入率低下が著しい中、お二人の話を聞いて、自治会はコーディネーター的な役割に徹するといいのでは?と感じました。お二人はどう思いますか?

安達さん:
自治会はとても大切だと思いますが、おっしゃる通り、自治会をハブとしてとらえて、自治会に加入している/していないに関わらず参加できるイベントを行う、ボランティア団体などの市民活動とも連携するなどの形をとるのが今後の理想形ではないかなと思いますね。

江藤さん:
能登半島の災害ボランティアに学生たちといったときに、仮設住宅や避難所での話を聞き、自治会の大切さを改めて実感しました。来年度、自治会をテーマとして授業が新しく開設されるので、地域コミュニティの核である自治会に、学生とともに関わっていけたらと思っています。


研究会の最後には、ゲストのお二人に「あなたが「あこがれる/めざすコーディネーター像は?」とお聞きしました。お二人の答えは以下の通りです。

安達さん:地域の方々が楽しむためのあくまで黒子
自分も「黒子」を楽しんでいます!

江藤さん:是々非々
良いものは良い・悪いものは悪い。良いものを積み重ねていくのがコーディネーターにとって大切だなと思います。


第2回まちだのコーディネーター研究会は、8月22日(金)に開催します。
詳細・お申込みはこちらからご確認ください。
https://machida-support.or.jp/event/cordinate02/

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