【実施報告】誰でももっと会議上手になれる!体験型ファシリテーション基礎講座を開催しました
8月24日(土)、オンラインにて「誰でももっと会議上手になれる!体験型ファシリテーション基礎講座」を開催しました。当日は18名にご参加いただき、参加者から熱心かつリアルな質問が出て、実りの多い時間となりました。
講師は、ファシリテーターの青木将幸氏(青木将幸ファシリテーター事務所)。質問に対し1つ1つ真摯に答えながら、ポイントはフリップボードに書いてお話をしていただきました。後半は、参加者それぞれが問いを持ち寄り、それをテーマにしたグループワークを行い、実際にファシリテーションの実践も行いました。楽しい講義であっという間の3時間でした。
以下、講座の中で出てきたポイントや、参加者との質疑応答の一部ご紹介します。
<ファシリテーションのポイント>
●反応をちょっと丁寧に返す
→ファシリテーターとは「〇〇を促す人」のこと。丁寧な反応で相手のモチベーションを引き出しましょう。進行役だけでなく参加者全員が実践できるファシリテーションです。
●なるべく早く全員が口を開こう
→冒頭に長く説明をしてしまう会議はありがちです。できれば開始10分以内に、全員がしゃべれるようなアイスブレイクをやってみましょう。「好物はなに?」など簡単な質問でOK。
●大人数で話す⇔少人数でおしゃべり(3人組くらい)を交互にバランスよく
→必要充分な回数で、少人数で話す時間を作りましょう。情報が処理しきれなくなってきたかなというタイミングが良いと思います。中には一人で考えたいという方もいらっしゃるので、「ノートをまとめる時間にしても良いですよ」と逃げ場を作ってあげるとより丁寧ですね。
●休憩をケチるな!
→プログラムをすすめることに真剣になると休憩を削ってしまいがちですが、僕の経験上だと休憩を削ってよかったことはありません。
●問いを立てる
→ファシリテーターの大きな仕事は問いを立てること。みんなが応えたい・参加したいと思える問いを立てることが大切です。雑談や脱線はどうしても起きますが、それは問いがはっきり伝わってないことが原因の場合が多い。反対にしっかり伝わっている場合は、脱線してもみんなで問いに戻ってこれます。
<質問タイム>
①ファシリテーションは、会議だけでなく少人数の話し合いなどどこでも使えるという認識で合っていますか?
→その通りです。学校や会社、学びの場、意見交換の場、地域でも使います。普段何かしらを理由に「意見が言えない」ということは多々あると思うのですが、世の中のあらゆる問題は、「本当はその場で言ったらよかったのに言えなかった」が積み重なってしまったことで起きていると思います。
②青木さんがファシリテーションするときには、相手のどういうところを見ていますか?
→相手は本当のことを言っているのか、上辺のことを言っているのかにはついては特に意識を向けています。人はだいたい上辺からスタートしますが、丁寧に聞くと本当の話をしてくれるようになることがあるので、相手が今どのくらいの段階なのかは理解するようにしています。また、身体の角度は嘘をつきません。気持ちが乗っているか乗っていないかが分かります。
③いっぱい話している人は止めたほうがいいのですか?そのままにして会話を聞き切ったほうがいいのでしょうか?
→僕は、止めなくていいと思うほうです。会議で大事なのは、「よくきこう・よくはなそう」ということ。僕は会議が始まる前に、「普段よくしゃべる人はよく聞くことを意識して、普段あまり話さない人はよく話すということを意識しましょう」ということを伝えるようにしています。でも基本的に会話の皮切りになってくださる方はありがたいと思っています。「口火を切ってくれてありがとう。この後はみんなの意見を聞こうね」といった風に、「きく・はなす」のバランスを意識した声掛けを行ってみましょう。
④腕組みしながら…など威圧的な人と1対1でやりとりしないといけない場合はどうしたらいいのでしょうか?
→むずかしいですね。僕は必ず、自分が思っていることと相手が思っていることで重なるゾーンがあると思っています。このゾーンから話を始めてみると、向こうは頷きやすくなります。なんでも、同じ立ち位置から始めると話が進みやすいですよ。
⑤会社での会議で、AとBの意見どちらも尊重したいけれど相容れないときにはどうしたらよいでしょうか?制限時間も限られている中、着地の仕方が難しいです。
→富士登山をイメージしてください。AとBの違いって、実は登り方の違いであることが多いです。「大事なのは富士山に登ることであり、今は登り方の話をしている」ということをまずは確認し合いましょう。そのうえで、AとBの比較を行っていきます。両者の良いところと悪いところを出し合いましょう。2つを戦わせるのではなく、違いを理解することを意識します。最後は総合的に見て、会社の方針として選択を行います。会社の場合は権限のある人が決まっているので、権限のある人に決めてもらうのも1つの手です。大事なのは登ることであり、麓でわいわいすることではないということですね。
タイムキープに関してはその場にいる全員が意識できるよう声をかけましょう。30分で決めるとしたら、「20分経ったから残り10分だね」と声をかけるといった具合です。ときどき現在時刻を言うだけでも充分です。
⑥話題提供者と参加者など、立場に差があることで参加者が置き去りになってしまうことが心配です。みんなで気軽に意見交換できる場にするためのコツはありますか?
→僕がみんなで一緒に話したいときに用意するのは、フリップボードと紙です。原始的な方法ですが、立場がフラットになります。フリップボードを使って、1枚目は「あなたの好物」を語ってもらうことが多いです。好物について語るときは誰でもニコニコするし、人の好物を否定する人はいません。2枚目で本題に入るのですが、話題提供者も参加者も同じ問いについて同じようにフリップボードで答えてもらいましょう。フリップボードがない場合は画用紙で代用できます。
⑦いろんな人の意見を聞いて結論をまとめたい場合、進行する立場として配慮していることはありますか?よくしゃべる人の主張で決まってしまうということは避けたいです。
→それぞれの主張が偏らないように便宜的にグループを作り、メンバーをバラバラにして考えてもらうようにしています。意見をまとめるときには、エンドユーザー(結果として影響を受ける人)のためになっているかどうかという視点で選びましょう。そうするとみんながうなずいてくれることが多いです。決着がつかないときは、神の声を使います!世の中にはじゃんけんやコイントスで決めたほうがいいこともあります。決め方の多様さも時には必要ですね。
⑧国や行政に対し、私は当事者の代弁者として提言をする立場なのですが、自分がうまく話せていないのか、ポカーンとされてしまうことが多いです。どうしたらいいのでしょうか。
→相手にちゃんと届くと、相手は対応してくれます。反対に届いていないと、少数意見として軽く扱われてしまいます。ポイントは、他人事を自分事にすることです。「あなたのお子さんに起きたことだと思って聞いてもらえますか?」など、自分の家族にも起きうることだというモードを作ってからお話してみましょう。どう声をかけたら自分事にしてくれるかということを丁寧に考え、提言の前にワンクッションを入れることが大事です。
⑨ファシリテーターとして会議の準備はどこまでやっておくのがベストでしょうか?
→会議は準備が8割!とよく言われています。僕自身は、準備が8割だけど当日になったら当日8割!と思うようにしています。準備していたけど結局使わない内容も多いです。それより当日のライブ感や盛り上がりが大切です。限られた時間でみんなにとっていい場になるといいですよね。
⑩自分がファシリテーターをしたあとの振り返りや評価をどのようにされていますか?
→自分がファシリテートしたものはすべてファシリテーターノートに書いています。よかった点、反省点、何人でどう座っていたか、盛り上がったポイントはどこか、ということまで細かく記録して振り返るようにしています。
<参加者の感想>
・大人数と少人数の会を行ったり来たりして自分の意見を言える場があったのも、ただ聞くだけではなく参加したという満足感が得られました。
・講義形式でなく対話を大事にした講座とてもよかったです。 ポイントが明確でわかりやすく、すぐに実践していきたいと思います。
・様々な立場の方が参加されて、異なる角度からの質問が出されたおかげで、講師のレクチャー+αの学びが得られました。