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実施報告performance

実施報告 2024年08月27日

【実施報告】まちカフェ!インクルーシブ研究会vol3「子どもが安心できて心地よく過ごせる場づくりのヒント」

8月1日(木)、まちカフェ!オープンデー内で<まちカフェ!インクルーシブ研究会>を開催し、12名の方にご参加いただきました。講師は、一般社団法人つるかわ子どもこもんずの理事であり、子どもアドボケイトの横山雅代氏です。

日々地域の子どもたちの学習サポートや居場所事業等を展開している横山さんに<子どもの声をきちんと聴く>ということをテーマにお話いただきました。簡単なクイズやワークも交え、参加者同士のやりとりの中で学び合う時間となりました。

 


インクルーシブ研究会vol3  結論と考察

1 自分の中にある差別を自覚し、子どもを見る目をアップデートすることが大事。

2 子どもは、大人が意識しなければ社会的構造の中で無力化させられたり、孤立化させられてしまう存在。

3 大人は子どもの気持ちを聴き、自分で選択できたという経験を積み重ねていくサポートを行っていく。

考察: 法令や条例でしっかり守られているはずの子どもの権利。それらは周りの大人によって、効果的な働きをする一方で、簡単に脅かされてしまうこともあるということが分かりました。学ぶことで、声かけや聴き方一つ一つに変化が現れそうです。

 

講師の横山さん。

講師の横山さん。優しく穏やかな口調で講座が進んでいきました。

<自己紹介>

私は一般社団法人つるかわ子どもこもんずの前身である「つるかわ無料塾結い」の頃からスタッフとして関わり、現在はつるかわ子どもこもんずの理事を務めています。児童書編集者として仕事をしてきました。日々子どもに関わる中で、自分の接し方でいいのかとても不安になったことがあり、「子どもへの暴力防止のための基礎講座:CAP」、「子どもアドボカシー講座」、「メンタルヘルス市民講座」などを受講して学んできました。

子どもアドボカシー講座に出てきた中で印象的な言葉があります。「子どもを傷つけないために、子どもを傷つけてしまったことで、自分が傷つかないために…それは、学ぶことしかないです」という講師の言葉です。今日は私自身の経験や学んできたことを中心にお話できればと思います。

 

―今日のテーマ「子どもが安心できて心地よく過ごせる場づくり」とは?

子どもを見る目をアップデートすることが大切だと私は考えています。

 

―脳科学クイズ(YES/NOで考えてみてください!)

Q1.怒るのはダメだけど、叱るのはOK
Q2.愛情を持って叱れば子どもは変わる
Q3.何度も同じことを繰り返すときは何度も根気よく叱ることが大切

叱るも怒るも、受けての子どもからすると同じ行為です。何度叱っても、効果はない(というより違う作用をしてしまう)のです。(『〈叱る依存〉がとまらない』村中直人より)
大人は「子どもたちを成長させたい」、「社会に出たときに困らないようにしてあげたい」という気持ちで叱ることもあるかもしれませんが、逆効果にならないようにしっかり考えていきたいですね。


―子どもとは?どんな存在でしょう?

まず、大人とは圧倒的な力の不均衡があります。物理的・身体的、知識、経験などの差です。

「子どものくせに」「子どもなんだから」→「相談する人がいない」「相談しても何もかわらない」→「自分の人生なのに自分で決められない」といったように、子どもたちは、大人が意識しなければ社会的構造の中で無力化させられたり、孤立化させられてしまう存在なのです。子どもたちの言動の奥に、どんな願いがあるかということにも心を向けることが必要ですね。

 

―子どもに関わる法体系(ワークを実施)

子どもに関する法令や条例が1つずつ書かれたカード全6枚を配布し、グループで協力して上位から順に並べました。「子どもに関する法令や条例がこんなにたくさんあるなんて知らなかった」、「子どもに関する法律があることは知っていただけど、中身までは知らなかった」など驚きの声が多数寄せられました。

子どもに関わる関連法令・条例
・日本国憲法
・子どもの権利条約
・こども基本法(2023年施行)
・児童福祉法(2024年4月改正)
・児童虐待防止法
・町田市子どもにやさしいまち条例(2024年5月施行)

グループワークの様子。

グループワークの様子。子どもに関わっている参加者が多く、とても盛り上がりました。

<ワークショップ>
「子どもが尊重されて、安心して過ごせる居場所とはどんな場所でしょう?」というお題で、各グループにそれぞれ話し合っていただきました。出てきた意見は下記の通りです。

・身体的にも精神的にも安全が担保されている場所
・子どもが何を言っても一旦受け入れてもらえる、その上で話し合って考えることができる場所
・ロールモデルになる大人のいる場所
・いていいと思える場所
・強制されずに自分の好きなことができる場所
・飾らないでそのままでいられる場所
・何も考えないで過ごせる
・役割があり、自己実現できる場所
・距離感を選べる場所
・けんかもできる場所

―ワークの内容を受けた横山さんのコメント

・虐待を受けている子はずっと緊張状態にあって交感神経・副交感神経のバランスが崩れてしまい、あらゆる病気リスクが高くなってしまいます。
・子どもにとってロールモデルはとても大切です。特に、高校生や大学生など身近な存在が必要だと思います。
・子どもにとって、何も考えないで過ごせる場所はすごく大切。今、週に8つ習い事をやっている子もいると聞きます。子どもは空白のぼーっとした時間にいろいろ想像して脳が発達するんです。前に子どもたち向けに話したときには、「休む権利」があるということにみんなびっくりしていました。


<質疑応答>

Q1.子どもに意見表明権はあっても、意見表明できる子は少ないという指摘が一番印象に残りました。意見形成・意見表明のサポートはどのようにされていますか?

→アドボケイトの現場では、気持ちを聞くことが第一です。何か話してくれたときに、「話してくれてありがとう。その時、どんな気持ちになったか、おしえてもらってもいいかな」という質問を積み重ねていきます。「嫌だった」「嬉しかった」という言葉が出たら、「誰かに伝える?」と子どもに聞きます。子どもが「伝える」と言ったら、誰にどんな方法で伝えるかということを一緒に考えていきます。最初からできる子もいれば、何度か繰り返すことで言えるようになる子などいろいろいます。その都度気持ちを聞くことで、自分で選ぶという経験をすることが未来の選択を助けることにつながると思います。

Q2.アドボカシーという言葉は、子どもに関わる文脈でどのように使われているのですか?

→子どもアドボケイトというのは、子どもの声は小さかったり、見過ごされたり、流されたりする場合があるから、その声をよく聴こうという考え方です。アドボカシーという言葉自体は、障がい者の権利擁護の分野の言葉として使われることが多いです。

Q3.子どもと接するうえで大事にしていることは?

→差別は自分の中にもあるんだということを日々自覚しながら子どもと接するようにしています。

 

<参加者アンケートより感想一部抜粋>
・子どもの権利や子どもにとってどんな環境がベストなのか、皆さんで学び合えて楽しかったです。
・子どもの教育支援という地域貢献としての観点のみならず、自身が今後子育てをすることになった際にも大いに生かせる内容で、良い学びになりました。
・横山さんの話し方がすごく落ち着いてやわらかいイメージで、安心できる感じがしました。そういう話し方が子どもと話す時に大切なのかなと思いました。 見習いたいと思います。

 


次回以降は下記の通り開催を予定しております。ご関心ある回にぜひご参加ください!

●10月3日(木)11:00~12:00
テーマ <障がいと共に地域で自立して暮らす>

●11月7日(木)14:00~15:00
テーマ <性の多様性の尊重について学ぼう!>

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