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実施報告performance

実施報告 2019年11月18日

【実施報告】地域でNPO・市民活動の果たす役割について知る、考えるセミナー<11月15日>

11月15日(金)町田市役所市民協働おうえんルームにて「地域でNPO・市民活動の果たす役割について知る、考えるセミナー」を開催しました。

キックオフスピーチとして吉田建治氏(認定特定非営利活動法人日本NPOセンター事務局長)、町田市の事例報告として前島正光氏(NPO法人顧問建築家機構)、岡田栄氏(NPO法人CCCNET事務局長)にご登壇いただきました。

本セミナーは、昨年度20周年を迎えた特定非営利活動法人法(通称NPO法)にこめられた理念をふりかえり、NPOや市民活動がこれからの地域で果たす役割について、実例なども踏まえて共有することを目的として開催しました。

参加者は52名、アンケートの結果全体満足度は85.4点でした。また、NPOや市民活動への理解が深まったかという設問については、5段階で4.3点という結果となりました。以下アンケートのコメントの一部を紹介させていただきます。

  • 吉田氏の具体的な取り組みはイメージしやすかったです。
  • 前島氏のNPOとしてのミッションの実現に向けて取り組まれる姿勢が素晴らしかったです。
  • 市民活動の強みを活かし、市との協働のまちづくりの実現を目指したい。
  • 各々の団体での話を聞くことにより、どのように協働すればよいかが具体的にわかった。

以下講座の概要をご報告いたします。

 

◆キックオフスピーチ 吉田建治氏

吉田氏からは、NPO法に書かれた理念に立ち返り、そもそもNPOとは何かということから、協働の定義や意義についてお話いただきました。

NPOとは?

  • 特定非営利活動促進法(通称NPO法)では、「市民が行う自由な社会貢献活動」が「公益の増進に寄与する」ことを目的とするとその理念が書かれている
  • NPOは、「一部の人のこまりごと」や「想定しきれていないこまりごと」に対応できる
  • 「自発性」と「多様性」というNPOの価値を引き出すには「参加」と「協働」が重要な意味を持つ

 

協働とは?

  • 「異種・異質の組織」が、「共通の社会的な目的」を果たすために、「それぞれのリソース(資源や特性)」を持ち寄り、「対等の立場」で「協力して共に働く」こと
  • 複雑に入り組む課題が増え、課題を連立方程式で解いていくことが求められている
  • 地域に密着し「面」で関わる主体×テーマ型で専門性を持つ主体が連携することが大事
  • 協働は必須ではないが対話は必須。

 

 最後に協働の事例として日本NPOセンターが実施している「子どものための児童館とNPOの協働事業(通称:どんどこプロジェクト)」が紹介されました。本事業は、全国で児童館とNPOが協働する取り組みですが、スタート当初は、二者の協働だったのものが、学校、商店街、老人クラブなど、地域の多様な主体に協働の輪が広がったそうです。その時に鍵になったのが、見えていない共通項を探ったり、発見していくプロセス。協働を通じて今まで見えていなかった各組織の専門性が発見されたことも協働のもう一つの成果だったようです。

 

◆町田市の事例報告

(1)前島 正光氏(NPO法人顧問建築家機構)

前島氏からは、顧問建築家機構として16年間が取り組んできた経験から「地域と連携」「行政と協働」について感じている課題や協働のあり方についてご提示いただきました。

協働について

  • 対等な立場で同じ目的のためにそれぞれが出来ることを協力する
  • NPO法人は自らのミッションに基づいて高い専門性を持ち、必要と思われる事業に積極的に取り組み、民の立場で行政に政策を提言していくことが大切
  • 政策を作る段階からの協働事業が重要

 

(2)岡田 栄氏(NPO法人CCCNET事務局長)

 岡田氏はからは、町田市の学校支援センターのゼネラルボランティアコーディネーターとしての経験を中心にお話いただきました。

 学校支援から複数の主体による連携協働への進化が必要であること、また、担い手の高齢化が課題となっていることをご提示いただきました。

 

◆パネルディスカッション(進行 大谷光雄 町田市地域活動サポートオフィス)

 

NPOの課題(収益と人材)

吉田:苦労しているんだということをまずは知っていただきたい。お金と人材については全国の自治体の調査で常に課題として挙がっている。そのうえで、NPOというのは参加を重視している組織なので、寄付金、会費、ボランティアということにこだわったほうがいいとお伝えしている。収益の柱にはならないけど仲間をつくっていくことがが活動の柱になっていく。

岡田:人材という点では、活動の魅力をきちんと発信していきたい。

前島:魅力ある組織、信頼される組織であることが収益をあげていく根本。理解者をどう増やしていくかが課題。NPOが地域や行政と一体的に動いていければこうした課題も解消していけるのではないかと思っている。

 

他の組織と比較した時のNPOの強みは?

吉田:一つは、思いついたときにやっちゃえること。もう一つは、NPOらしい課題解決の仕方。それが地域のいろいろな人を巻き込むこと、地域の人と目的を共有すること。困りごとをわかちあったり、広げたりすること。サービスを提供して課題を解決することも重要だが、一緒に解決する、一緒に考えるというのがNPOらしさ。

前島:株式会社と違って株主に配慮する必要はない。自らの責任において自由に活動できるのが強み。地域の人や行政の人と話しながら自由に動けるのがNPOの強みではないか。

岡田:横のつながりづくり。「業務」、「仕事」というより「活動」ととらえていて、自分たちの活動をよりよくするために動く。フレキシブルに動けるのは強み。

 

行政との関係を踏まえたうえで、NPOや市民活動が地域で果たす役割

吉田:地縁と違う特徴は、テーマでつながっているという点。テーマで専門性を発揮できる。一人ひとりの「困った」というつぶやきを集めて、「これって社会課題ですよね」と伝えていくことができる。テーマでつながっているので地域を超えてつながりを持っていることも多いのでそれを活かすことができる。行政や地縁組織の方にも普段と違う人の声を聞いてみようと思ったときに市民活動やNPOを視野に入れていただくとよいのでは。

岡田:縦の糸は行政、横の糸はNPO。分野を超えてつながるのはNPOや市民活動団体のほうが長けている。行政のそれぞれの部署でつながっているNPOを育てたいと思ったら、補助金の情報を提供したりして、育てて、育てて、育てていってほしい。

前島:これからの社会の変化の中で自治体をめぐる状況が大きく変わる。行政と市民による行政運営ということが言われる中で、NPOとしてその役割を果たすために育つ。その育つところを応援してほしい。また、地域のことは地域の中で解決していこうということが必要。その中にNPOが関わっていくようなことができればまちづくりが進むのではないか。

 

会場から質疑応答

質問:地縁コミュニティとテーマ型コミュニティの結びつきをどう進めるか。

吉田:壁があることも多いが、現在それを超えていこうという大きな流れがある。政策的にも後押しが進んでいる。あと一歩、一押しではないか。その時に見えていない共通点を見つけていくことがポイント。それを第三者として行政や中間支援組織がつないでいくことも必要。この問題ならあの人に相談すると良いといったような「つなぎ」を丁寧に積み重ねていくことが大切ではないか。


キックオフスピーチ、事例報告、パネルディスカッションを通じて市民活動の強みを再確認する場となりました。最後の質疑応答では、あらためて中間支援組織の役割も提示されました。市民活動の「自由さ」「専門性」「自発性」「多様性」が多様な組織・人とつながり地域で価値を発揮していくためにもサポートオフィスは「翻訳者」としてどのような取り組みをすすめていくか今後の課題をいただく貴重な場でもあったと感じています。

 

 

 

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