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コラムcolumn

コラム 2020年06月04日

【コラム】新米事務局長のつぶやきvol4「コロナ禍における市民のつながり ~SNSと市民の活動~」

新型コロナウィルスの感染拡大は、社会経済に大きな影響を与えています。「つながること」を基盤とする市民活動にとっても社会的距離をとることが与える影響は小さくありません。一方で、緊急事態宣言下の2ヶ月間、こんな時だからこそSNSで展開する市民の協力、連帯、協働が大きな力となると感じた経験がありましたので紹介したいと思います。


1「東京都緊急事態措置等・感染拡大防止協力金」の対象にNPO法人等の追加を求める要望活動

 

4月21日Facebook(以下FB)で「東京都の休業要請協力金にNPO法人は対象とならない」という投稿を目にし、全国のNPO等の関係者が1,000名以上参加しているFBグループ「コロナ問題の中、NPO・NGOはどう活動すべきかの情報を共有するグループ」に「何かできないか?」と投稿したところ、グループ主宰者松原明氏(元NPO法人シーズ・市民活動を支える制度をつくる会)から「要望書を出しましょう!」とのコメントをいただきました。

 

松原氏とともにグループを主宰している池本桂子氏と私の3名(個人の立場)が呼びかけ人となって賛同者を募集することになり、わずか1日で241の団体・個人が賛同。4月22日東京都に要望書をメールで提出しました。要望と同時に多くの方が立場を超えて動き、5月7日にNPO法人を対象とする旨を東京都が発表。その後5月19日に公表されたた第二回の協力金では、最初から対象に「NPO法人等」と記載されました。

 

今回呼びかけ人となった私以外のお二人は、これまでにも制度づくりの経験があるプロです。東京都が公表してすぐ「この喜びをできるだけ早く賛同者と共有しましょう!」、「活動はこれで終わりと報告しましょう!」などお礼や活動にピリオドを打つタイミングなど、的確に進められていきました。「お礼のメールと投稿はきっかけを作った喜田さんが!」と提案しただけで二人におんぶにだっこだった私に最後に役割を与えていただきました。きちんと経緯を書く、喜びを共有する、動いてくれた方に感謝を伝えるとポイントを教わり、文章にまとめました。

 

一連の活動は、すべてFBやメールで行い、同じような動きが全国に展開していきました。要望書などの文書も、一地域のものが他の地域のひな形になり、「経験」が連鎖しています。メールや投稿だけの「運動」ですが、同じ目的で動いていることを確かに感じることできる経験でした。そして、それを支えるのは、進捗、成果、知見の共有、きちんとしたお礼やお願い、適切な役割分担など現実社会の日々の活動と同じ(むしろより丁寧な)コミュニケーションが大事だということを改めて感じる一連の活動でした。


2 コロナとその後の地域の困りごとについて一緒に考えて活動する町田グループ

 

1の経験があったこと、また活動をリードした松原氏が「市民の協力」を作る一つの方法は「学びのコミュニティ」すなわち経験や実践をオープンにして共有していくことが大事であると話していたことを参考に、町田でもFB上で課題や知見を共有できないかと考えるようになりました。同じタイミングで、「コロナ禍で活動ができない」「情報が必要な人に届かない」等の課題を聞く機会もあり、町田でも立ち上げてみようと提案し「コロナとその後の地域の困りごとについて一緒に考えて活動する町田グループ」を立ち上げました。一緒に立ち上げたメンバーの人脈もあり、現在参加者は126名(6月3日時点)。コロナ禍で活動を進めていくうえでの課題、知恵、情報が共有されています。情報プラットフォームが必要では?というお一人の方の投稿から、アプリの導入に向けて検討する有志が集まり、アンケートを実施するなど活動も生まれています。

FBでの出会いが初対面で、後に本当にお会いして「あの○○さん!」といった面白い経験もありました。こちらは、地域に限定したグループならではですね。


以上が私の経験した外出自粛という制約下SNSで市民の協力が広がった事例です。思えば、アラブの春と呼ばれた中東・北アフリカ地域の一連の民主化運動もSNSを通じて国を超えて情報が拡散したことで広がりました。今回も外出がままならない中、一人の声、一人の知恵がSNSを通じて地域の中で、地域を超えて広がっています。

 

一方で、上記のグループでも情報が届かない層にどうやって情報を届けるか、多すぎる情報をどうさばくか、などの課題が提示されています。オンラインやSNSで、すべてが解決するわけではありません。情報格差がくらしの格差に直結してしまうような社会になってしまうのでは、意味がありません。届かない人にどう届けるか、それも市民が知恵をもちよって考えていかないといけない課題だと思います。


著者/喜田亮子(町田市地域活動サポートオフィス 事務局長)

大和市在住。桜美林高校、桜美林大学出身。20年間民間企業の助成財団で全国の地域活動への助成等を担当。中学2年の娘、小学校5年生の息子の母です。

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